DMM.comの「DMM mobile」が楽天モバイルに買収されるなど、引き続き厳しい状況にあるMVNO(仮想移動体通信事業者)。だがMVNO大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)がeSIM向け通信サービスのベータ版を開始したことで、新たな市場の可能性が出てきた。eSIMはMVNOにとって救世主となり得るのだろうか。

厳しい環境が続くMVNO、「DMM mobile」が事業譲渡

 携帯電話大手の攻勢で苦戦が続くMVNOだが、2019年7月9日、そのMVNOに関して大きなニュースが舞い込んだ。DMM.comがMVNOとして運営する「DMM mobile」などの事業を楽天モバイルに譲渡するというものだ。

 DMM.comはDMM mobileや固定通信サービスの「DMM光」などを別会社に分割し、それを楽天モバイルが継承。楽天モバイル側はその対価として23億円をDMM.comに支払う。DMM mobileなどの事業やブランドなどは当面維持されるが、2019年9月1日よりサービス提供会社は楽天モバイルに変更され、ポイントシステムも「楽天スーパーポイント」に移行される予定だという。

 楽天モバイルや楽天が他のMVNOを買収したのは今回が初ではない。2017年にはかつて「FREETEL」ブランドでMVNOやスマートフォン開発事業など展開していたプラスワン・マーケティングのMVNO事業を楽天が買収。同社が保有していた40万契約を獲得するに至っている。

楽天モバイルは楽天の1事業だった頃からMVNOの買収による事業拡大を進めており、2017年にはプラスワン・マーケティングのMVNO事業を買収し、40万契約を獲得した。写真は2017年12月1日の楽天モバイル事業概況説明会より(筆者撮影)
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 それゆえ今回のDMM mobileの買収も、自社でインフラを有する携帯電話事業者(MNO)となる今後に向け、そのベースとなる現在のMVNOでの契約数を一層拡大したい狙いがあったと言えるだろう。

 一方、買収される側のDMM mobileは、低価格のサービスが多いMVNOの中でも、特に「最安値」を前面に打ち出すなど、価格訴求で契約数を拡大していた。それだけにMVNOの中でも契約数は比較的多く、楽天モバイルとDMM.comの発表によると、DMM mobileの契約数は2019年6月30日時点で約24万件に達していたとのことだ。

 DMM.comがDMM mobileを楽天に売却した経緯の詳細は公表されていないが、その根底にはやはり現在のMVNOを取り巻く市場環境の厳しさが影響したものと考えられる。DMM.comとしては今後MVNOの市況が好転するのは難しく成長は見込めないと判断し、本業のコンテンツ配信サービスに集中するべく今回の措置に至ったと言えそうだ。

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