米国による中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)への制裁によって、同社製スマートフォンの発売を見送る動きが広がるなど、ついに消費者にも米中摩擦の影響が及び始めた。この制裁措置が長引けば、消費者は今後どのような影響を受けると考えられるだろうか。

スマートフォン新機種発売前の制裁で混乱

 2018年末より大きな波紋を呼んでいる、ファーウェイ・テクノロジーズを巡る米国と中国の対立。これまで日本の消費者に直接的な影響が及ぶことはなかったが、去る2019年5月15日、米国の商務省がファーウェイ・テクノロジーズを産業安全保障局のエンティティーリストに追加すると発表した。ついに日本の消費者にも影響を及ぼしつつあるようだ。

 というのもファーウェイ・テクノロジーズの日本法人であるファーウェイ・ジャパンは、制裁が発表される前後にSIMロックフリー版や携帯電話大手向けのスマートフォン新製品を発表し、これから本格的に販売を始めるところであったのだ。その最中に米国から制裁を受けたことで混乱が生じ、同社製の新製品発売を見送る動きが急拡大したのである。

ファーウェイ・ジャパンは米国の制裁発表直後の2019年5月21日に、新機種「HUAWEI P30」シリーズの発表会を実施したが、MVNOを中心にいくつかの企業が端末の販売を延期している。写真は同イベントより(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 実際、KDDIのauブランドや、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」などから2019年5月22日に発売される予定だった「HUAWEI P30 lite Premium」が発売延期となったことを皮切りとして、携帯電話大手やMVNO、一部の量販店がファーウェイ・テクノロジーズ製のスマートフォン販売を見送ったり、予約を中止したりする動きが広がった。一方でヨドバシカメラやビックカメラなどの家電量販店は予定通り新製品を発売。一時販売を見合わせていた米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の日本法人であるアマゾンジャパンも同社製品の販売を再開するなど、対応が分かれている。

 なぜこのような事態に陥ったのかと言えば、2018年に米国から同じ制裁を受けた中国の中興通訊(ZTE)の前例があるからだろう。ZTEは制裁により米国企業との取引が事実上できなくなったことで経営が窮地に陥った。特に国内のユーザーに大きな影響を与えたのが、制裁で端末のアップデートをするためのサーバーが停止したこと。これによって既存のZTE製端末のOSやセキュリティーパッチのアップデートができなくなり、大きな混乱が生じたのである。

2018年に同様の制裁を受けたZTEの場合、通信機器やスマートフォンの開発ができなくなっただけでなく、アップデートサーバーが停止するなどして既存の端末利用者にも影響が及んだ。写真は2019年2月25日より実施された「MWC 2019 Barcelona」より(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 ファーウェイ・ジャパンは既存製品、そして今回発表された新製品に関して、2019年5月23日のプレスリリースで「日本で今回発表したスマートフォン、タブレットにおいて、その使用、今後のセキュリティアップデート、アフターサービスなどが影響を受けることはありません」と公表している。だが制裁がどこまで影響するのかは、米国政府の動向次第というのもまた確かだ。そうしたことから制裁の影響が明確になるまで、様子を見たい企業が多いのだと考えられる。