発注方式の多様化に対応し、告示98号は略算方法が使える範囲を拡大。国土交通省は技術的助言で、基本設計と実施設計の業務量比率を約3対7と示した。しかし、この比率に対して実態に即しているのかと疑問視する声もある。

 告示98号では、一部の業務のみを行う場合にも対応できるように略算方法が使える範囲を見直した。算定方法として業務量比率を規定し、技術的助言で示した。

 技術的助言で示した業務比率表では「基本設計」と「実施設計および意図伝達業務」の2区分を示し、「総合」「構造」「設備」ごとに具体的な割合を明記した。基本設計と実施設計・意図伝達業務の業務量比率はおよそ3対7とした〔図1〕。

〔図1〕技術的助言で業務量比率を規定
技術的助言では、基本設計と実施設計における「総合」「構造」「設備」ごとの業務量比率を示した。各業務を別の主体が実施する場合などに増減する業務については、標準外業務として扱うとした(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 基本設計の範囲を超えて求められる業務は、追加的業務として付加するように明記した。ガイドラインでは、基本設計者と実施設計者の間で発生する引き継ぎや手戻りなどを例に挙げている。増減する業務内容を明確にしたうえで、業務量を個別に算定することが必要だ。

 旧告示の略算方法は、基本設計と実施設計などを一体的に行うことを前提にしていた。そのため、基本設計、実施設計などをそれぞれ別の主体が行う場合に対応できなかった。

業務比率基準と実態が乖離

 業務報酬基準検討委員会で委員を務めた金箱構造設計事務所の金箱温春代表は、「基本設計の業務範囲を明確に示さなければ、発注者と受注者の間で追加業務の認識が異なってしまう」と話す。告示では基本設計における成果図書の項目だけが示してあり、詳細な内容は明記されていないからだ。

 「検討委員会では、基本設計における業務範囲について議論された。結果として、構造に関してのみ、成果図書の留意事項が追記されただけで、総合と設備については、旧告示と変わっていない」(金箱代表)

 一方、発注方式の多様化により、基本設計は設計事務所、実施設計と施工は建設会社という発注方式を採用するプロジェクトが増えている。

 基本設計と実施設計の業務量比率が実態に即していないのではないかと指摘するのは、プランテック総合計画事務所の来海(きまち)忠男社長だ。「最終的に納めるものは図面だが、実施設計の図面に反映する項目はすべて基本設計がベースとなる。基本設計と実施設計を分けることを前提とすると、より高い質・精度の基本設計が求められる」と訴える。

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