磯崎新氏へのプリツカー建築賞授与式(2019年5月24日)を前に、海外の建築界に詳しい4人の専門家に「日本建築界の見え方」を聞いた。今回は3人目、建築評論家でシンガポール工科デザイン大学 建築・サステナブルデザイン学部長のエルウィン・ビライ氏の後編。東南アジア諸国で活躍の目立つ建築家について語る。

 経済成長によって、東南アジア諸国での建築の仕事は拡大している。ただし、東南アジアと一口に言っても、各国の文化や政治経済、地形、気候風土はそれぞれ異なり、その違いがその国特有の建築を生み出している。

 非常に豊かな文化を有し、経済成長も目覚ましいタイでは、首都バンコクに、英国の建築家アマンダ・レブト(Amanda Levete)の設計による「セントラル・エンバシー」や、地元のアーバン・アーキテクツ(Urban Architects)による「アイコンサイアム」のような建築的に新しい商業施設が生まれている。

 一方で、タイの建築家ラチャポン・チョーチュエ(Rachaporn Choochuey)が設立者の1人であるデザイン事務所、オールゾーン/all(zone)によるチェンマイの現代美術館「マイイアム(MAIIAM)」のように、こまやかな設計が見られる文化施設や、都市における不可視な働きやプロセスに関するチャトポン・チュエンルディーモル(Chatpong Chuenrudeemol)の研究もあり、こうした試みが形を越えて建築をつくる新しい意識や設計方法を切り開いている。

all(zone)が設計した、タイ北部チェンマイの現代美術館「MAIIAM」。古い倉庫を改修し、2016年に完成。新設部のファサードには光を反射する小さな鏡面タイルを何千枚も貼っている。タイの伝統的な寺院建築から着想を得た装飾技法で、ここでは現代アートの表現をタイルのパターンで生み出すことを試み、新しい取り付け方を考案した。反射によって壁が周囲に溶け込み、同時に建物の明るさが道行く人を引き付けることを意図した(写真:Soopakorn Srisakul)
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「MAIIAM」の内部。倉庫の工業的な雰囲気は残した(写真:Soopakorn Srisakul)
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