磯崎新氏へのプリツカー建築賞授与式(2019年5月24日)を前に、海外の建築界に詳しい4人の専門家に「日本建築界の見え方」を聞いた。3人目は、建築評論家でシンガポール工科デザイン大学 建築・サステナブルデザイン学部長のエルウィン・ビライ氏だ。

Erwin Viray(エルウィン・ビライ)氏。1961年生まれ。フィリピン大学建築学部卒業後、京都工芸繊維大学大学院修士課程、東京大学大学院博士課程修了。シンガポール国立大学デザイン環境学部准教授を務めた後、2011年より京都工芸繊維大学工芸科学研究科建築造形学部門教授、15年同大学特任教授。現在、同大学KYOTO Design Lab客員教授、シンガポール工科デザイン大学の建築・サステナブルデザイン学部長(写真:Singapore University of Technology and Design)
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 東南アジアの建築関係者にとって、日本の建築や建築家は常に憧れの存在であり、建築をつくる、あるいは建築の考えを実践するときの手本だ。その一端として、シンガポールでは重要なプロジェクトの設計が伊東豊雄氏(「VivoCity」「キャピタグリーン」を設計)や槇文彦氏(「リパブリック・ポリテクニック」「シンガポール・メディアコープ」を設計)など、日本の建築家に託されてきた。

 日本の建築が非常に優れているのは、知的かつ芸術的に秀でることを目指す文化が日本にあるからだろう。形態に限らず、建築を発展させ、その領域を拡張するような建築家の思考についても同様で、これはプリツカー建築賞で重視される点だ。

 そして、活発な建築メディア、優秀な施工者や職人、新しいことへの挑戦を恐れないクライアントの存在も、素晴らしい建築のアイデアやプロジェクトが生まれる日本の建築環境を秀でたものにしている。

 雑誌「住宅特集」の各号を見れば、様々な住宅が載っていて、若い建築家が新しい住空間を探究・創造する道を開いている。これは良いクライアントと良い職人がいるからこそ可能なことだ。西沢立衛氏の「森山邸」や、さらに遡って安藤忠雄氏の「住吉の長屋」などは、その好例と言える。

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