将来のモビリティー(移動手段)として注目を集める「空飛ぶクルマ」。その実現に向けた動きが具体化している。クルマといっても自家用車のみならず、トラックやタクシーといった「働くクルマ」も電動化によって空を飛ぼうとしている。

 救命救急用ヘリコプターの運用などを行っているドイツの非営利団体ADAC Luftrettungは、「空飛ぶクルマ」による同ヘリコプター代用に向けたフィージビリティスタディー(実行可能性調査)を始める(発表資料)。機体には、ドイツ・ボロコプター(以降、社名をボロコプター、機体名をVolocopterと表記)のマルチコプター型の電動の垂直離着陸(VTOL)機を用いる。

救命救急用のボロコプターの機体
(出典:ADAC/ボロコプター)
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 ADAC Luftrettungが行うのは、「HEMS(Helicopter Emergency Medical Service)」である。日本では、「ドクターヘリ」として知られており、医師や看護師などがヘリコプターに同乗して救急現場に向かい、患者を医療機関に搬送するまでの間、医療処置を行う(関連記事:第3回「天駆ける救急車、空から患者のすぐそばに」)。ADAC Luftrettungは、30を超える離着陸場で、50機超の救命救急用ヘリを運用しているという。

 今回のフィージビリティスタディーの目的として、従来よりも早く医師が現場に到着できるようにするなど、救急医療の改善を挙げる。さらに、従来のヘリコプターに比べて電動VTOL機は、機体価格や運航コスト、維持コストなどを大幅に低減できる可能性がある。これまでもこうした可能性は論じられてきたが、今回のようなフィージビリティスタディーが始まることで、より具体性を帯びてくる。

2019年春からシミュレーション開始

 フィージビリティスタディーでは、2つのエリアを想定し、ボロコプターの電動VTOL機をHEMSに利用した場合のシミュレーションを行う。担当するのは、ミュンヘンのLudwig Maximilians UniversityにあるINM(Institute for Emergency Medicine and Management in Medicine)で、2019年春から開始する。数カ月以内に飛行試験も予定している。こうした一連の作業によって、電動VTOL機の利便性やコストなど検証する。最初の結果は、2019年の秋・冬ごろに示すという。フィージビリティスタディーにかかる費用は、約1年半で約50万ユーロと見積もる。

 なお、想定するエリアは、ディンケルスビュール(Dinkelsbühl)のHEMS拠点がカバーしているバイエルン(Bavaria)州アンスバッハ(Ansbach)群のエリアと、ラインラント-プファルツ(Rhineland-Palatinate)州のエリアである。

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