2019年時点では、全世界で100社程度の宇宙ベンチャー企業が立ち上がり、ロケットの開発を始めている。しかし、その中で米国のロケットラボのように衛星打ち上げまで到達するのはごく一部と予想されている。

 理由は、弾道飛行と衛星打ち上げの難易度の差にある。衛星を地球周回軌道へ入れるのに必要な運動エネルギーを100%とすると、ロケットが高度100km以上に到達する弾道飛行は、7%程度にすぎない。弾道飛行と地球周回軌道への衛星投入とでは必要な運動エネルギーが1桁以上違う。

MOMO3号機の打ち上げ(出所:インターステラテクノロジズ)
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 この差は、そのままロケットの規模に直結する。規模はそのまま開発と運用のコストに跳ね返る。衛星打ち上げロケットを開発するには、弾道飛行とは文字通り桁の違う資金が必要なのだ。

 もちろん技術的にも、衛星打ち上げで新たに必要となる技術要素は少なくない。例えば、各段の分離や2段から上の空中での着火、正確な軌道に投入するための誘導制御、打ち上げ時にきちんと衛星を保護して不要になった時点で確実に投棄できる衛星フェアリングの開発など枚挙にいとまがない。

 そんな中で現在、日本では2つのベンチャー企業が小型衛星打ち上げ用ロケットの開発を表明し、実際に開発作業に取りかかっている。インターステラテクノロジズ(IST)と、スペースワンだ。

 ISTは2019年5月4日、高度100kmの宇宙空間到達を目指す弾道飛行ロケット「MOMO」3号機を打ち上げ、高度113.4kmまで到達させた。高度100km以上の宇宙への到達に成功したのは、日本の民間ロケットとしては初めてだ。

 2社の戦略は対照的だ。ISTは独立資本で基本的にロケット各部の部品をインハウスで製造し、液体2段式ロケットを打ち上げる。これに対してスペースワンは航空宇宙メーカーと大手電子メーカーに銀行が加わって設立し、各部品を親会社に発注してインテグレートして、固体3段式ロケットを用いる。本拠地もISTは東の北海道・大樹町であるのに対して、スベースワンは西の和歌山県・串本町に射場を建設している。

 このように対照的な両社だが根本は共通している。衛星打ち上げ用小型ロケットを開発し、国際的な商業打ち上げ市場に参入するという目標だ。

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