米クアルコム(Qualcomm)vs. 中国ファーウェイ(Huawei Technologies)──。スマートフォン向けプロセッサー(半導体)の覇権争いで注目される両社だが、最近の業績は正反対だ。クアルコムがライセンス料収入の減少により業績を悪化させる一方、ファーウェイは好調を維持している。この結果、両社の研究開発への投資余力は差が広がる一方だ。

 その根底には半導体ビジネスにおける設計専業(DO:Design Only)、いわゆるファブレス形態から設計・製造(DM:Design & Manufacturing)への回帰があると筆者は見ている。半導体チップの設計からスマートフォンを含む通信ビジネスを展開するファーウェイの優位性はますます高まるだろう。

PCT出願でファーウェイが逆転

 ファーウェイはスマートフォン端末を中心とするコンシューマー事業の他に、通信事業者向け事業や、法人向けICTソリューション事業も行っているので単純な比較はできない。だが、一般に研究開発投資は事業部の売り上げに比例する。売上高構成比でPCT出願件数を調整したファーウェイのコンシューマー事業のPCT(特許協力条約;Patent Cooperation Treaty)出願件数とクアルコムとの比較は図1の通り。ファーウェイは2018年に初めてクアルコムを上回り、スマートフォン関連特許の出願だけを見てもファーウェイが世界でトップになった。

 ファーウェイのコンシューマー事業の特許出願は、第5世代移動通信システム(5G)向け半導体などに係るものが多く含まれていると見る。今まで、韓国サムスン電子(Samsung Electroncis)や米アップル(Apple)などスマートフォンメーカーは、使用する半導体チップをクアルコムなど別の企業から購入してきた。ただ、その価格上昇や供給停止は、スマートフォンメーカーにとって大きな脅威である。

 これまでに、多くの通信機器メーカーが半導体開発コストの負担に耐え切れずに撤退を余儀なくされた。そのため、半導体チップの自社開発が可能な企業は現在、極めて限られている。こうした中、ファーウェイは、子会社のDO(設計専業)メーカーであるハイシリコンを駆使して着々と開発を進めており、出願から見た技術レベルはクアルコムを急追している。

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図1●ファーウェイ(コンシューマー事業を推定)とクアルコムのPCT出願
(WIPOのデータを基に正林国際特許商標事務所が作成)

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