令和が幕を開けた2019年5月1日、改元対応に関する目立ったシステムトラブルは発生しなかった。だが10連休が明けた2019年5月7日、大阪市や名古屋市、仙台市で改元対応の不備によるシステム障害が発生。ゆうちょ銀行やみずほ銀行、楽天銀行で連休明けのアクセス集中に関するトラブルがあった。

 多くのシステムが改元対応やアクセス集中を乗り切った一方で、トラブルはなぜ生じたのか。改元のその日に起こったトラブルから見ていこう。

仕様のずれに気付かず「31年5月」を印字、第1号は上天草市

 改元日の2019年5月1日、熊本県上天草市は同月6日まで発行する水道使用量の検針票に「31年5月分」と誤って印字していると発表した。検針票はもともと元号を省略した和暦で年月を印字しており、正しくは「元年5月分」と印字するはずだった。

「元年」と書くべきところを「31年」と誤記した「水道使用量のお知らせ」
(出所:上天草市)
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 水道局の職員は月初に契約世帯を巡回し、水道使用量を確認してハンディー端末で検針票を出力して投函(とうかん)する。5月1~6日に巡回した上天草市の全契約世帯1万1500件あまりに投函した検針票に誤記があった。

 実は上天草市は平成のうちに、水道料金計算システムを含む市の基幹系システムやハンディー端末の関連システムなどの改元対応を済ませ、検針票に「元年5月分」と印字する準備を済ませていた。だが、稼働時期の足並みをそろえなかったため、トラブルが生じた。

 上天草市が新元号に対応した基幹系システムを稼働させたのは10連休に入った2019年4月27日だった。これに対し、水道局の事務所でハンディー端末に検針年月などの和暦データを取り込んだのは10連休前の4月23~24日とタイミングが早かった。

 そのため、ハンディー端末には令和が考慮されていない平成のままの和暦データが取り込まれ、「31年5月分」と印字してしまった。和暦データは5桁で「元号コード1桁と和暦年月4桁」というフォーマットだ。

 開発を委託するITベンダーの間で改元対応の仕様について認識のずれがあったこともトラブルの原因となった。基幹系システムはRKKコンピューターサービス(熊本市)が、ハンディー端末用システムはKIS(熊本市)がそれぞれ構築・保守を担当している。

 2社は上天草市を交えた事前の打ち合わせや連携テストなどで、正しい令和の和暦データを受け渡した際に検針票が正しく印字することを確認していた。テストは2019年2月と4月の2回実施して、水道局職員も印字結果を確認した。しかし、データを受け渡すタイミングや、「平成31年5」月など誤った和暦データを受け渡したときの処理方法について誤解があったという。

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