本記事は、日経エレクトロニクスの過去記事を再掲載したものです。

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 「Xperia Z」の製造は佳境を迎えつつあった。極め付けの悩みは背面パネルの加工である。一方、ソフトウエアではソニーとの一体開発を目指す取り組みが始まっていた。

 「一体どんなサプライチェーンを組めばいいのか……」

 ハードウエアの設計チームは、Xperia Zに使う背面ガラス板のサンプルを前に頭を抱えていた。背面ガラス板には偏光蒸着膜の上に白や黒のインクを塗布する。世界中で販売するため、従来機種と比較して段違いに大量に造らなくてはならない。

 チームが最終的に出した答えは、ガラスの製造と切り出し、偏光蒸着、黒または白の塗布という一連の作業を、アジア中に散らばる複数の拠点で実施する方法だった。中でも偏光蒸着膜の加工は大規模な工場を持つ企業がなく、多数の生産拠点に分散させる必要があった。決して効率が良いとは言えないが、現実のさまざまな制約を秤(はかり)にかけるとこれ以上の解はない。ガラス・メーカーから出発したガラスは複数の拠点に送り出され、そこからさらに分岐して、最終的に中国の組み立て工場に到着するという長大なサプライチェーンが組まれた。Xperia Zのハードウエア製造は背面パネルという最大の山場を越えた。

助っ人のソニー技術者、現る

 ソフトウエア開発も苦労の連続だった。物語は2012年1月初旬に遡る。

 「やっとスマートフォン用カメラの開発に携われる」

 ソニーでデジタルカメラ向けのデジタル信号処理技術を開発してきた松下伸行は、期待に胸を膨らませてソニーモバイルコミュニケーションズの本社ビルに足を踏み入れた。新しいスマートフォンのカメラにソニーのデジタルカメラ技術を注入するのだ。ここ数カ月の間、この日を待ち続けていた。

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