スポーツ産業拡大の一丁目一番地と考えられている「スタジアム&アリーナ改革」。現在、多くのスポーツクラブや企業、自治体が新たなスタジアム&アリーナの建設を目指しているが、そこで欠かせないのが「いかにしてスタジアムを地域活性化につなげるか」という視点だ。この考えなくしては、スタジアムは地域に受け入れられず、持続可能性を欠くものとなってしまうだろう。

 日経BPが主催した「SPORTS Tech&Biz Conference」(2019年3月20日開催)には、民設民営の新スタジアム建設計画を進めているプロスポーツ界の2社がパネルディスカッションに登壇した。JリーグのV・ファーレン長崎を運営するジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 高田旭人氏と、プロ野球の北海道日本ハムファイターズ 取締役 事業統轄本部長/北海道ボールパーク 取締役 マーケティング担当 前沢賢氏である。2023年の開業を目指して新スタジアム建設を進める両社が、スタジアムと地域への思いを語り合った。モデレーターは山下PMC取締役 専務執行役員の木下雅幸氏が務めた。

V・ファーレン長崎が目指す「全世代向け複合型スタジアム」

 2017年、経営難に陥っていたJリーグのV・ファーレン長崎(以下、V・ファーレン)を救済する形で100%子会社化したジャパネットホールディングス。同社は今、長崎市の三菱重工業の工場跡地に、ホテルや商業施設などが併設する複合型スタジアムの建設に取り組んでいる。その動機のひとつが「地域創生」の実現だ。

 「長崎は良い人が多く、素晴らしい文化も持っています。しかし、決して栄えているとは言えず、2018年には長崎市の転出超過数は全国ワースト1位になってしまいました。私自身長崎で生まれ育った人間ですので、スポーツを通して長崎の魅力を発信していきたいという思いを持っています。それがスタジアム建設のひとつの理由となっています」(高田氏)

ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 高田旭人氏。1979年長崎県生まれ。東京大学卒業後、証券会社を経て、ジャパネットたかた入社。バイヤー部門、コールセンター部門、物流部門の責任者を経て、2010年にはコールセンター部門を強化するためジャパネットコミュニケーションズ設立時の代表取締役社長となる。2012年ジャパネットたかた取締役副社長を経て、2015年1月、ジャパネットホールディングス代表取締役社長に就任、現在に至る

 V・ファーレンの新スタジアムは、収容人員2万3000人と比較的コンパクトなものだが、アリーナやホテル、オフィス、商業施設、マンションなどを併設した複合型スタジアムになる予定だ1。そのコンセプトは、「あらゆる世代がワクワクし、豊かな生活ができる長崎の実現を目指す」というものだ。

*1 2019年3月時点の情報で、現在は構想段階のため今後変更になる可能性もある。

 「日常的にさまざまな世代の人々があふれる場をつくり、ここを起点に子どもたちを育てる街をつくっていきたい。そして、そのビジョンを長崎県全体に横展開し、地域を盛り上げるのが、我々の取り組みです」(高田氏)

V・ファーレン長崎の新スタジアムのイメージ図。約7ヘクタールの土地にスタジアムやアリーナ、ホテル、ショッピングモール、オフィス、マンションなどが立ち並ぶ複合型スタジアムとなっている。構想段階のため、今後デザインを含め変更になる可能性もある(図:ジャパネットホールディングス)
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