ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)の前身のbjリーグ時代には計4度の優勝を果たし、Bリーグでも好成績を上げ続け、人気と実力を兼ね備える琉球ゴールデンキングス。沖縄県沖縄市を拠点とする同クラブは今、地元自治体などと連携しながら、1万人規模の収容が可能な米国型の本格アリーナ「(仮称)沖縄市多目的アリーナ」の建設を進めている。

 完成すれば日本のアリーナを取り巻く環境を大きく変えると期待されているこのアリーナは、どのような経緯で造られることになったのか。「第2回 スポーツ ビジネス 産業展」(2019年2月27日~3月1日、幕張メッセ)に、琉球ゴールデンキングスを運営する沖縄バスケットボール 代表取締役社長の木村達郎氏が登壇し、その内幕を語った。

地域活性化のために欠かせないピース

 現在、琉球ゴールデンキングスがホームアリーナとして主に使用しているのは沖縄市体育館と宜野湾市立体育館。その名の通り、いずれも複数のバスケットボールコートが並ぶ一般的な体育館で、試合開催時にはクラブが自前で観客席を造ってゲームを運営している。そんな中で木村氏がアリーナ建設を公言したのは、今から10年前、クラブが初めてbjリーグで優勝を果たした際だ。

「優勝を果たし、次の目標を考える上でアリーナが必要だと考えました。それはクラブのためだけではなく、地域活性化のためにも欠かせないピースだと思ったのです」(木村氏、以下同)

「その後、周辺自治体でアリーナ建設の話が持ち上がる度に関係者に会いに行きましたが、なかなか最後までコミットはせず、アリーナ建設の難しさを感じていました。ただ、『アリーナを造る』と言い続けていれば、必ずいい縁に巡り合えると思っていました。実際にある大手商社の方と協力してプロジェクトを立ち上げましたし、現在の桑江朝千夫沖縄市長も、選挙に臨む際にアリーナ建設を公約に掲げられて具体的に新アリーナの話が動いていくことになりました」

 こうした経験から、木村氏は「アリーナを造ろうとするとき、『ただなんとなく進めて、建物ができた後に色々考えましょう』というのではダメで、誰かが本気になって前に進めていかないとならない」と感じたという。木村氏はまた、「まずはアリーナの主要目的を決めるべきだ」とも話した。

「アリーナを造る上で主要目的をはっきりと決め、その上で可能な範囲でどこまで多用途化できるのかという順番で考えていかないと、多目的ではなく『無目的』なアリーナができてしまいます。無目的なアリーナでは、その地域の文化にはなれないと思っています」

 こうした思いをかなえ、利用者を置き去りにしないためにも、設計段階から施工担当者がプロジェクトに携わるECI(Early Contractor Involvement)方式を採用し、建設の理念がしっかりと反映されるような形で進めていったという。

沖縄バスケットボール代表取締役社長の木村達郎氏。東京都生まれ。中学~大学までバスケットボールをプレー。筑波大学ではバスケットボール部所属。同大学卒業後、米国の大学院に留学。スポーツとメディアの共存関係に着目し、スポーツ・マーケティングを研究。その一方で在米中にNBAを中心に米国のスポーツを独自取材・原稿執筆。米Emerson College (米ボストン市)マスコミュニケーション研究科修士課程修了。帰国後、ディレクターとしてNHKスポーツ中継番組制作会社へ入社。退社後、沖縄プロバスケットボール設立活動を主導し、bjリーグの参入を勝ち取る。2006年10月にチーム運営会社「沖縄バスケットボール株式会社」を設立。創業期より代表取締役社長として「琉球ゴールデンキングス」を率い、9年間で最多優勝回数と最多集客を達成。Bリーグへ移行した現在では、2020年秋に供用開始となる(仮称)沖縄市多目的アリーナの準備に奔走している(写真:久我智也)
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