開幕から四半世紀以上が経ち、成熟期を迎えているJリーグ。かつては「サッカー後進国」と言われた日本にサッカーを根付かせることに成功し、今後さらなる発展を目指している。ではリーグの“経営層”は、現状をどう評価し、今後に向けてどのような計画を立てているのだろうか。

 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科と日本経済新聞社が共催した「Sports X Conference」(開催は2019年7月27~28日)に、Jリーグ理事の米田恵美氏が登壇。「これからのJのこと語ろう」と題し、Jリーグの現在と未来について語った。その要旨をレポートする。

Jリーグ経営の難しさは“トリプルミッション”と“ステークホルダーの多さ”

 米田氏は、会計士として社会人のキャリアをスタートさせた後、人材開発・組織開発を行う企業の設立や保育士資格を取得するなどの多様な経験を積み、2018年に34歳の若さでJリーグの常勤理事に就任した人物だ。そんな米田氏は、Jリーグ経営には2つの難しさがあると話す。

日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)理事の米田恵美氏
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 「“トリプルミッション”、それ故に“ステークホルダーが多いこと”の2つが、Jリーグ経営の難しさだと感じています。

 私たちはスポーツ団体ではありますが、公益財団法人である以上、競技性の向上だけを追求すればいいわけではなく、社会性や事業性も両立しなければなりません。3つともバランス良く追求していかなくてはならない点は、非常に難しい面があります。

 ただし、他の競技団体の場合は“競技性”と“事業性”だけをミッションとしているケースが多いかもしれませんが、Jリーグは設立当初から“社会性”も加えています。スポーツを通して心身の健全な発展に寄与し、もっと幸せな国を創っていこうと考えているからです。だからこそ地域密着を打ち出して来たのであり、そこがJリーグの大きな特徴になっています」(米田氏、以下同)

 では、そのような難しさを抱えながらも、Jリーグはこの先どのような姿になっていこうとしているのか。米田氏は「人々にとってなくてはならない存在になる」ことがゴールだと説明する。

 「当然ながらアジアNo.1のリーグ、世界最高峰のリーグと呼ばれるようになって行きたいですし、そうなれば、誰もがこぞって行きたくなるスタジアムができ、常に超満員になっているでしょう。同時に様々なデバイスでスポーツ観戦を楽しみ、試合がない日もサッカーやクラブの情報を仕入れようとする。さらに、地域や企業も積極的にスポーツを活用し、産業も、地域も、人も育つような環境が整っていく。そのようになっていければ、多くの人に“Jリーグはなくてはならない存在”と言ってもらえると思います。それこそが、私たちの最終ゴールなのです。

 ただ、逆に言えば今はまだ“なくなってもいい”と答える人の方が多いと言えます。だからこそJリーグはさらなるスケールアップを遂げていかなくてはなりません」

Jリーグが2030年にありたい姿
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