世界的なサッカー事業グループである、英国のシティ・フットボール・グループ(以下、CFG)。2014年7月、日産自動車とグローバルパートナーシップを締結。横浜F・マリノスの少数株主となり、日本サッカー界で初めて外資企業が株主となったことで話題を呼んだ。

 2019年7月末に開催されたスポーツビジネス関連のカンファレンス「SPORTS X Conference 2019」(主催:慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究所/日本経済新聞社)では「シティ・フットボール・グループのグローバル戦略 〜マンチェスター・シティの躍進、そして横浜F・マリノスの変革〜」と題する講演では、シティ・フットボール・ジャパン(以下、CFJ)代表の利重孝夫氏が登壇。CFGのフラッグシップクラブであるマンチェスター・シティFCの発展の軌跡、CFGの経営戦略や横浜F・マリノスとのパートナーシップについて話した。

平坦でなかった成功への道のり

CFJ代表の利重氏
(写真:浅野智恵美)
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 マンチェスター・シティFCの前身のクラブは1894年に設立された。2019年で125周年を迎えた歴史あるクラブである。2017/18シーズンでは、リーグ戦18連勝の新記録を樹立。3度目のプレミアリーグ優勝を果たした。2018/2019シーズンもプレミアリーグを連覇、そして国内史上初となるタイトル4冠を達成した。

 しかし、成功までの道のりは決して容易いものではなかった。同じ街で偉大なる歴史を紡ぎ続けてきたマンチェスター・ユナイテッドの成功の陰に隠れる形で、1992年のプレミアリーグ誕?以降は2部や3部への降格も経験した。転機が訪れたのは2008年だ。

 「2008年に現オーナーであるUAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ・ユナイテッド・グループが過半数の株式を取得し、2011/12シーズンに44年ぶりにリーグ優勝。2012年に元FCバルセロナ副会長のフェラン・ソリアーノがCEOに就任してから、現在の成功に向けた行脚が始まりました。CFGでは、先ずビジョンありきで、そこからその大きなビジョンを達成するための課題を逆算して定め、一つ一つアクションを起こしていきます。その中で3つのブランド・ピラー、つまり、大切にする価値を掲げています」(利重氏)

 1つめの価値は、人々を熱狂させる「Beautiful Football」。ただ勝つだけでなく、観客が楽しめるサッカーを展開しながら勝つことを目指す。とにかく攻めて、シュートを打って、点を取りに行く、非常に攻撃的なサッカーをすることだ。2017/18年シーズンでは、38試合で勝ち点100、得点106、得失点差プラス79という驚異的な記録を残している。

 2つめは「Great Connect」。マンチェスターという地元を大切にしながらも、世界中で多彩なコミュニティ活動を展開していく。今年7月のマンチェスター・シティ来日時に開催された、提携する横浜F・マリノスが持つ知的障害者サッカーチーム・フトゥーロへのサッカー指導なども、その一環として行われたものである。

 「マリノスのホームタウンコーチと、マンチェスター・シティのコミュニティのコーチが共同で選手たちを指導しました。選手たちも普段とは違う環境の中で楽しんで指導を受けていましたし、それぞれのコーチもお互いがどうコーチングをするのか非常に興味を持っていました。選手もコーチも皆が学べる良い機会になったと思います」(利重氏)

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