長らく日本のサッカー界をけん引してきた日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の東京ヴェルディ。2009年以降はJ2での戦いが続いているが、近年、総合型クラブへの進化や、大胆なリブランディングなど、野心的な取り組みを展開。幅広い業界から注目を集めている。そんなヴェルディは今、『東京ヴェルディカレッジ』(以下、ヴェルディカレッジ)というビジネススクールを開校し、ビジネス人材の育成にも取り組んでいる。

 東京ヴェルディ取締役の森本譲二氏、ヴェルディカレッジの発起人である佐川諒氏へのインタビューの前編ではヴェルディがビジネススクールを展開する理由や特徴について紹介したが、インタビューの後編では、カレッジを通してヴェルディが描く将来像について聞いた。

中学生から高校生年代の女子選手たちが所属する日テレ・メニーナの選手たち
(写真@TOKYO VERDY)
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今後50年のクラブの中核に

ヴェルディは2019年クラブ創立50周年を迎え、スポーツに限らずあらゆるエンターテインメント領域に進出する総合型クラブへの変貌や、伝統あるロゴデザインの変更などのリブランディングに取り組まれています。これらの動きの中でヴェルディカレッジはどのような位置付けにあるのでしょうか。

森本 総合型クラブになっていく上で、ヴェルディカレッジこそが中核だと考えています。というのも、ヴェルディカレッジはヴェルディを取り巻く人や組織をつなぐ存在になり得るものだからです。

 これまでもクラブとサポーター、クラブとスポンサー、クラブと行政というようなつながりはありましたが、そうした関係だけでは限界があります。であれば、ヴェルディがハブとなり、ヴェルディを通してサポーター同士や企業同士、あるいは地域社会や行政がつながっていくというように、我々が社会の潤滑油となっていくことが必要ですし、そういう存在になれればクラブの付加価値も高まります。私たちが社会におけるハブになるためには、ヴェルディに関係する人を増やさねばならない。その意味で、ヴェルディカレッジから人材を輩出していくことが重要になるのです。

 もう少し話を発展させると、将来的には学校をつくる構想も持っています。従来のように知識を詰め込むものではなくヴェルディカレッジのように実践型で、そこで学ぶことで学生に何らかの気づきを与える場所です。現在のヴェルディカレッジは大学生と高校生が中心ですが、中学生や小学生年代、あるいは社会人をターゲットにしてもいいと思っています。総合型クラブであるヴェルディには多種多様な人材がいますので、彼らとヴェルディを通して何かをつかみたい人を結びつけることで何らかの化学反応が期待できますし、それはクラブや業界全体にも影響を与えるものになると考えています。その中から世界で戦っていけるリーダーを発掘したいです。

「世界」という観点でいうと、ヴェルディはスペイン・SDエイバルや、フランス・ACアジャクシオなど海外クラブと協力関係にありますが、ヴェルディカレッジにおいてもそうしたクラブと何らかの取り組みをしていくのでしょうか。

森本 例えばエイバルもヴェルディカレッジのような取り組みを実践していますので、お互いのカリキュラムの様子を紹介し合ったり、学生同士が触れ合う場を設定したりしたいという話をしていますし、海外からインターンシップを受け入れることなども検討しています。また現在、その他の国のクラブとの提携の話も進んでいますので、具体的に形になったら色々と連携を深めていきたいとも考えています。

 そういった意味でも、ヴェルディカレッジは我々を海外に発信していく上での重要なツールでもあるのです。

東京ヴェルディ 取締役/一般社団法人東京ヴェルディクラブ理事長の森本譲二氏。2005年にプロ野球・楽天イーグルスに入社し、スポンサーセールスを担当。2007年からは福岡ソフトバンクホークスでIT戦略部やパシフィックリーグマーケティング株式会社の立ち上げに従事。マンチェスター・ユナイテッドではグローバルマーケティングに携わり、スポーツビジネスの最前線で活躍。2018年2月より現職(写真:久我智也)
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