スマートフォン(スマホ)用ゲームアプリ「モンスターストライク(以下、モンスト)」のリバイブ(再起)とスポーツ領域の事業成長――。ミクシィ代表取締役社長執行役員の木村弘毅氏は、2019年5月10日に開催した決算説明会で、2020年度に向けた2大方針として、売り上げの減少が続くコア事業のモンストのテコ入れに加え、スポーツ事業の強化を挙げた。実際、2018年6月にはJリーグ・FC東京に出資したほか、2019年4月にはBリーグ・千葉ジェッツを運営する千葉ジェッツふなばしとの資本業務提携・連結子会社化を発表した。千葉ジェッツが計画している民設民営による1万人規模のアリーナ建設を、資金面などを含めて支援する。ミクシィはスポーツビジネスで何を起こそうとしているのか。2019年3月20日に開催された「SPORTS Tech&Biz Conference」(主催:日経BP社)に木村社長が登壇し、スポーツ分野で展開するビジネスモデルを紹介した。

ミクシィ代表取締役社長執行役員の木村弘毅氏。電気設備会社、携帯コンテンツ会社等を経て、2008年株式会社ミクシィに入社。ゲーム事業部にて「サンシャイン牧場」など多くのコミュニケーションゲームの運用コンサルティングを担当。その後モンスターストライクプロジェクトを立ち上げる。2014年11月、執行役員就任。2015年6月、取締役就任。2018年4月、執行役員スポーツ領域担当就任。(現任)同年6月、代表取締役就任
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ミクシィが提唱する「フレミリービジネスモデル」

 ミクシィは、日本におけるSNSの草分け的な存在である「mixi」や、スマホ用ゲームアプリ「モンスト」など、「コミュニケーション」の触媒となるサービスを展開し、日本を代表するIT企業のひとつと言える存在だ。前述のようなサービスが対象としている商圏を、木村氏は「フレミリー市場」と表現する。

 「フレミリーとは“フレンド”と“ファミリー”を掛け合わせた造語です。mixiはインターネット上で親しい人とコミュニケーションが取れるサービスで、モンストは親しい友人や家族とコミュニケーションを取りながらワイワイ楽しめるサービスです。このように、家族や友人など、親しい人々で形成される市場を、私たちは“フレミリー市場”と定義し、そのコミュニティーの中で発生する消費活動を“フレミリー消費”と表現しています」(木村氏、以下同)

 「友人と食事に出かけ、“ウケ”を狙って面白そうなメニューを注文したり、旅行先で普段は買わないような記念グッズを買ったりした経験を持つ人も多いと思いますが、親しい人と同じ体験で盛り上がると気持ちが高揚して消費活動が発生します。それがフレミリー消費なのです」

 ゲームの楽しさではなく、友人や家族と盛り上がれる場を作るという独自化戦略でサービスを展開。「対面プレイ」「バイラル」、話題づくりのための「メディアMIX」という具体戦術を「垂直統合戦略」で実行し、世界累計利用者数5000万人(2019年4月時点)を突破するタイトルに成長した。

モンストは「B.B.Q.」をコンセプトワードに、4つのポイントを押さえてサービスを展開。ミクシィのゲーム・映像事業を統括するブランド「XFLAG(エックスフラッグ)」のロゴにも「B.B.Q.」というワードを入れるほど、同社はこのコンセプトを重視しているという
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 「モンストをリリースした2013年当時、スマホ用ゲームはひとりで遊ぶものがほとんどでした。確かにモバイル端末はパーソナルなデバイスですが、我々はみんなで集まり、顔を突き合わせながらできるゲームを作ろうと考えました。フレミリー消費を獲得するには、この要素は絶対に外せないものだからです」

 「さらに、サービス開始当初はマス広告を用いず、親しい人からの口コミで広めるバイラルマーケティングを推進しました。実際の友達からの情報は信頼性が高いので、ユーザーの獲得率も高まりますし、同時に離脱率の低下にもつなげられるというメリットがあるからです。それを実現するために、友人を誘うと様々なインセンティブを得られるような仕掛けを施していきました」

「また、対面プレイを訴求する上でYouTubeなどのインターネット動画を活用してマルチプレイの楽しさを伝えていきましたし、アニメや映画などのメディアを通じてその世界観を訴求する取り組みや、複合型エンタメショー『XFLAG PARK』を開催するなど、多種多様なタッチポイントを設け、友人間で常にモンストが話題に上がる状況を作り出していきました」

 「これらの戦術を実行する上で最重要だったのが“垂直統合戦略”です。ゲームの制作・運営、アニメ等の制作配信など、関連する施策をすべて自分たちでコントロールできる体制で行っていったのです。他社から見ると一見、非合理的に見えるかもしれませんが、こうした体制でないと、今のモンストはなかったと思っています」

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