「人間に関わるデータは、普段扱っている工場のIoTなどのデータと比べてばらつきが大きく、相関が見出しにくいこともある。それでも、この領域に向けたAI(人工知能)の開発は、今後、ヘルスケアやウエルネスなど健康ビジネスに展開するための入り口になる」(NEC AIプラットフォーム事業部エキスパートの藤生正樹氏)

 これまでは主に産業分野のAIを開発してきたNECのAIプラットフォーム事業部が、スポーツを対象に“未踏の領域”に踏み出している。アスリートの身体データなどをAIで分析し、ケガの予防とパフォーマンスの向上をサポートする仕組みの構築を目指す。

 開発に当たって手を組むのが、ラグビー日本代表をはじめ30競技・300チーム以上の日本代表やプロチームにクラウド型のコンディション管理サービスを導入した実績を持つユーフォリアである。

NECとユーフォリアの協業の概要。まずは「疲労の数値化」を目指す
(図:NEC)
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 ユーフォリアが有するスポーツやアスリートに関する知見と、NECのAI技術群「NEC the WISE」を活用したデータ分析を組み合わせる。当面の目標は、選手の「疲労の数値化」である。現状、現場のコーチやトレーナーは自らの経験や勘に基づいて選手の状態を判断している。「疲労はケガの予兆。疲労度を推定できれば、選手のオーバーユースによるケガの発生を減らせる可能性がある」と、藤生氏は開発の狙いを話す。

 ユーフォリア 共同代表の宮田誠氏は、「コーチやトレーナーのような判断をAIができるようになれば、トップアスリートの世界だけでなく、(専門のコーチやトレーナーがいない)中学・高校の部活動や“草の根”のスポーツ愛好家にもサービス展開が可能になる」と展望を語る。

 既に2019年6月から2020年3月までの予定で、NECが所有するVリーグ(バレーボール)のNECレッドロケッツと、ジャパンラグビートップリーグのNECグリーンロケッツを対象に実証実験を開始している。2020年度の事業化を目指す。

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NECが所有するチームで実証実験を展開中。左はジャパンラグビートップリーグのNECグリーンロケッツ、右はVリーグ(バレーボール)のNECレッドロケッツ
(写真:NEC)

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