ユーザー企業がIT投資を年々膨らませている。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が東証一部上場企業とそれに準じる企業に実施した調査から、その傾向が見て取れる。

 まず「企業IT動向調査2018」によると、IT投資を前年度に比べ増加させるとした企業は40.7%だった。1年前の前回調査に比べると6.7ポイントも増えた。最新の「企業IT動向調査2019」では、さらに6.9ポイント上積みし47.6%に達した。

 2019年度は半数近くのユーザー企業が前年度以上にIT投資を活発化させるというわけだ。IT部門もさぞ張り切っているだろうと思いきや、どうもおかしい。事業部門が主導することが多いデジタル案件だけでなく、得意だった基幹系システムの刷新案件でも、主導的役割を果たせていないIT部門が結構いるというのだ。

 最近は人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)などを活用したデジタル案件に積極投資するユーザー企業が増えている。その一方で、空前の人手不足から業務の効率化に迫られるユーザー企業が多く、基幹系システムの刷新など既存領域でのIT投資も伸びている。

 デジタル案件の場合、ITを活用して新しいビジネスやサービスを創出する取り組みのため、事業部門がプロジェクトを主導するケースは多い。ただIT部門も利用技術の選定やインフラ構築を支援しなければならないはずだ。基幹系システムなど既存領域の案件なら、もちろんIT部門が主役。いくつものIT投資を控えたユーザー企業のIT部門はてんてこ舞いの忙しさだろうと思っていた。

IT部門をスキップするベンダー

 実際、デジタル案件も含め自ら主導してプロジェクトを推進しているIT部門はそれなりに多いと思う。ところが、それと全く違う話がいくつか聞こえてくるようになった。情報の出所はITベンダーである。

 「ファーストコンタクト先がIT部門、あるいは執行役員システム部長クラスのCIO(最高情報責任者)だと話がまとまらないか案件が小さくなる。最初に会うのは経営者か事業部門を率いる役員。今やそれが我々の常識だ」。

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