欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)を導入するユーザー企業の間では「2025年問題」が大きな関心事になっている。従来のSAP Business Suiteの標準サポートが2025年に終了するため、最新版のS/4HANAに移行するか、別の手段で基幹系システムを再構築するかの決断に迫られているからだ。

 ユーザー企業にとっては、そろそろ何らかの意思決定が必要な時期だ。この機に業務改革に乗り出して現行のアドオンを削減するべきかなど課題は多い。2025年が近づけばユーザー企業が一斉に動き始めるため、移行作業を担うITベンダーの奪い合いになるとの懸念もあり、にわかに焦り始めたユーザー企業が多いようだ。

 良い機会なので、私が日ごろ疑問に感じていることを述べておきたい。「なぜ日本企業はライセンス料金など契約条件面で、外資系ITベンダーと徹底的に交渉しようとしないのか」である。実は日本のユーザー企業の交渉下手は、外資系ITベンダーの間では有名だ。

 欧米だけでなくアジアでも、ユーザー企業がパッケー製品やクラウドサービスを導入・更改する際には、契約条件を巡りITベンダーと徹底的にやり合う。ITベンダーが提示する契約条件はITベンダーの言い値なのだから、ユーザー企業は交渉で有利な条件を引き出そうとする。業界動向やITベンダーの内情に精通したプロの交渉人を使うところさえあるという。

 契約期間中であっても「契約の前提条件が変わった」などと称して再交渉に持ち込むのは当たり前。ある外資系ITベンダーの日本人幹部はその話を聞いて驚いたそうだ。外国人幹部から「そんな事をしないのは日本の顧客ぐらいだ」と日本企業のジェントルマンぶりを賞賛されたという。

交渉手段を持たない日本企業

 褒められた、いや皮肉を言われた日本のユーザー企業は外資系ITベンダーの「横暴ぶり」に対する不満を抱えている。「ライセンス料金が高すぎる」「ライセンス条件の変更が承服できない」といった不満をよく聞く。しかし企業間の交渉で合意したのであれば、受け入れるより他にない。承服できないのなら、外国のユーザー企業を見習って、再交渉に持ち込むべきだ。

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