ロボットは人間に危害を加えてはならない。またその危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない――。これは有名な「ロボット三原則」の第一原則である。

 ロボット三原則はSF小説の巨匠アイザック・アシモフが自身の作品の中で提起したもの。単にSF小説の中だけの話ではなく、実際のロボット工学にも少なからず影響を与えてきた。人工知能(AI)技術などの進歩により、ロボットと人間の共存がいよいよ現実のものになろうとしている今、この第一原則について改めて考え直してみなければならない事態が生じた。

 これから最も身近な存在となるロボットは何か。ソフトバンクグループのPepperのようなヒト型ロボットや、ソニーのaiboのようなペット型ロボットも有力だが、社会に広く普及し産業に大きな影響を与えるであろうロボットは他にある。クルマ型ロボット、つまり自動運転車である。

 その自動運転車が歩行者をはね死亡させた事故を覚えているだろうか。2018年3月18日に、米ウーバーテクノロジーズの自動運転車がアリゾナ州での公道テスト走行中に起こした事故だ。トヨタ自動車が米国での路上テストを中止するなど、一時は自動運転車の研究開発にブレーキを掛けかねない事態となった。

 ウーバーの自動運転車はロボット三原則の第一原則に反したわけだ。もちろん、わざわざ原則を持ち出さなくても、重大な人身事故はあってはならない。では、今回の事故を教訓にこれから先、自動運転車で絶対に事故を起こさないようにできるか。自信を持って「イエス」と答えられる人は、恐らくいないだろう。

 ヒト型ロボットやペット型ロボットは、第一原則を守れるように作られるのは間違いない。だが、クルマ型ロボットの場合、そうはいかない。人間が運転に関わらない完全自動運転車が実用化されたとしても、人間が運転するクルマや歩行者が混在する環境では当面、事故の発生は避けられないとみるのが自然だ。

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