ドローンはデジタルイノベーションの1つの象徴だ。2018年8月に南米ベネズエラでドローンを使った大統領暗殺未遂事件が発覚し、最近日本でも人口密集地での無許可飛行で逮捕者が出たこともあり、ドローン普及に対して懸念の声が上がっている。一方で、橋りょうなど社会インフラの保守業務や物流への活用といった具合に、ビジネスでの活用範囲は大きく広がろうとしている。

 実は私も、4つの回転翼を持つタイプのドローンを所有している。最大手の中国DJIの製品だ。初めて飛ばしてみたとき、本当に驚いた。ホバリングさせれば多少の風では微動だにしない。飛行中はセンサーにより衝突を自動で回避する。見栄えの良い空撮動画を自動操縦で撮影することも可能だ。首相官邸に落下するなど墜落事故が相次いだ数年前に比べると、格段の進歩を遂げた印象だ。

 ここで読者の皆さんに少し考えてもらいたいことがある。ドローンにおけるイノベーションとは何か。簡単なようで意外に難しい。正直に言うと私自身もよく分かっていなかった。自分で飛ばすというエクスペリエンス(体験)を経て、ようやく得心できた。実はドローンには製造業をはじめとする様々な産業に共通するデジタル時代のイノベーションの本質が潜んでいる。

 ドローンは回転翼のそれぞれの回転速度を変化させることで、前後左右と自由に飛ぶことができる。ヘリコプターの場合、機械仕掛けによって回転翼の角度を微妙に変えて前後左右に飛ぶ。ドローンは4つの回転翼を備えることで、複雑な機械仕掛けを不要にしたわけだ。しかも回転速度を厳密に制御しているので、初心者でも容易に飛ばすことができる。

他産業でもドローンと同じ動き

 機械仕掛けの塊であるヘリコプターは製造業の技術力、ものづくりのノウハウが詰まっている。ドローンの「ライバル」である産業用無人ヘリコプターも同様だ。容易に模倣できるものではない。

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