日本の大手ITベンダーの主力事業は、ユーザー企業の要望通りにシステムをつくるSI(システムインテグレーション)だ。人月の工数で料金が決まるため人月ビジネスとも言う。米国のマイクロソフトやオラクル、欧州のSAPのようにパッケージソフトウエアを主力事業とする大手ITベンダーは、日本では誕生していない。

 だが、中堅中小にまで視野を広げると、別の景色が見えてくる。日経コンピュータの「ITサービス企業業績・給与ランキング」で、売上高営業利益率が毎年トップのオービックだ。中堅企業をターゲットにERP(統合基幹業務システム)パッケージを開発・販売しており、2019年3月期の営業利益率は実に51.2%に達する。

 SIを主力事業とする大手ITベンダーの営業利益率がほぼ1桁台であることを考えると、51.2%は驚異的な高さだ。オービックは規模こそ違うが、外資系ITベンダーと同じビジネスモデルで高収益を実現しているわけだ。

 では、なぜ日本の大手ITベンダーが儲かるパッケージソフトを主力事業にしなかったのか。理由は簡単。顧客である大手ユーザー企業が独自のシステムを求めたからだ。SIならば必要な人数の技術者をそろえれば売り上げが立つ。何も苦労して自社パッケージソフトをつくり売り込む必要はない。つまり、日本の大手ユーザー企業がパッケージソフトベンダーを育てなかったと言ってもよい。

 一方、中堅中小のユーザー企業は、オービックのようなパッケージソフトベンダーを育てた。「中堅中小企業はIT部門が脆弱だから独自システムの構築は難しい」と、以前からよく言われる。確かにその面はあるが、それだけが理由ではない。実は、大手ユーザー企業でも今後起こるであろう、IT活用の大転換を先取りする理由が隠されているのだ。

クラウドでも繰り返すのか

 「我々の業務に最も適したシステムは要らない。標準のシステムが欲しい」。以前、中堅アパレル企業のCIO(最高情報責任者)からこんな話を聞いた。

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