2期連続の最高益を見込むなど、好調な業績を見せるソニー。これまで数年間にわたって行ってきた財務基盤の強化が実を結んでいる。だが、財務の健全化だけでは成長は望めない。成長に向けたスタートラインに立っただけだ。成長の柱を生み出す源泉は、やはり研究開発(R&D)である。ソニーはこれからの5年、10年でどのような成長軌道を描くのか。2018年7月に始動した「R&Dセンター」のトップを務める勝本徹氏を直撃し、ソニーの研究開発戦略の詳細を聞いた。(聞き手は、内山育海、田中直樹)

ソニーのR&Dセンターは今後、何を目指すのか。

勝本氏 2018年4月に、R&Dセンターに改変される前の「R&Dプラットフォーム」の担当に着任した時、吉田憲一郎社長をはじめとする経営陣から頼まれたことが3つある。

ソニー 執行役 常務 R&Dセンター長の勝本徹氏
(写真:加藤康)
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 第1は、R&D部門が培ってきた技術を会社全体にもっと活用してほしいということ。これまでのソニーのR&Dは、テレビやカメラといった一般消費者向け商品に搭載する新機能の開発や、イメージセンサーなどの半導体分野における次世代技術の研究開発が中心だった。今後は、プロフェッショナル用途の製品やエンターテインメント事業にも技術を活用してほしいと頼まれた。

 エンターテインメント事業には、映画や音楽、ゲーム、ライブなどの事業がある。それらの事業を、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントと、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ゲーム機「プレイステーション」を扱うソニー・インタラクティブエンタテインメントが担う。エンターテインメントではないが、日本には金融もある。銀行や生命保険、損害保険、さらには介護まで手掛けている。このような分野にも、R&D部門が培ってきた技術を活用してほしいと言われた。

 第2は、5年先、10年先のための仕込みのウエイトをどんどん増やしてってほしいということ。この4~5年は会社の財務状況が厳しかったので、直近の売り上げに寄与することに集中していた。足元でしっかりと稼げるまで業績を回復させた上で、中・長期の手を打とうという考えだった。R&D部門としても、来年や再来年の製品に貢献することを重点的に取り組んできた。その結果、商品力が強くなってきている。そこで、ちょうど私が担当になる時期に最高益を出したこともあり、次のステップとして「5年先、10年先の仕込みのウエイトをどんどん増やしていってほしい」と頼まれたのである。

 第3は、5年先、10年先の仕込みを、社内だけではなく、社外の大学や研究機関、会社などとオープンコラボレーションしながら、いわゆるオープンイノベーション的な方法をもっと活用しながら進めてほしいということ。中・長期の仕込みをするときには、「何かしら大きな塊で大きな仕込みをしてほしい」という考えがこの依頼の背景にある。

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