個人向けのセキュリティー対策製品から大企業向けのサービスまで幅広く手がけるカスペルスキー。最近引き合いの強い製品や今後の注目技術について、同社専務執行役員 エンタープライズ営業本部の宮橋一郎本部長とセールスエンジニアリング部の関場哲也部長に話を聞いた。

カスペルスキー専務執行役員 エンタープライズ営業本部の宮橋一郎本部長(左)と同セールスエンジニアリング部の関場哲也部長

2018年から2019年にかけて需要が伸びているセキュリティー関連製品は。

宮橋氏 2年前と比べて非常に伸びているのは、セキュリティーに従事する人員がいる大企業向けエンタープライズビジネスの分野だ。2018年後半から大幅な伸びを示している。

 また、2016年から始めたインテリジェンス(セキュリティーに関連した最新情報)提供サービスが好調だ。提供開始当初、このサービスは大企業でも使いこなすことができず売れなかった。しかし、(日本のユーザー企業の)セキュリティー担当者のスキルが上がるにつれて販売が伸びた。

 この種のサービスをはじめとする非エンドポイント製品の売り上げは、2018年後半から2019年前半にかけて倍近く伸びている。元の規模が小さいこともあるが、2017年比だと数倍の売り上げになった。非エンドポイント製品は、主に情報提供サービスのインテリジェンス製品とセキュリティー関連スキルを育成するトレーニング製品に分けられる。

 カスペルスキーが提供するセキュリティー製品がいかに良いものであっても、それを使いこなせるスキル、セキュリティーオペレーションのプロセス、そして、(プロセスを運用できる)組織、これらがないと使えない。その流れを受けて、(単に製品を提供するだけでなく)製品やセキュリティー技術を使いこなすための情報とサービスも提供するビジネスに変えてきている。

カスペルスキーが用意するインテリジェンスサービスのラインアップは。

宮橋氏 まず、セキュリティーリスクに関する世界の動向を報告するサービス、ユーザー企業ごとに潜在するセキュリティーリスクを調査して報告するサービスが最上位の戦略レベルとしてある。

 続いて、脅威ハンティングサービスやユーザー企業に調査スタッフが直接赴いて社内のセキュリティー対策を調べて報告するAPTディスカバリー、カスペルスキーのリサーチデータベースにアクセスして検出した不正ファイルの情報を得る脅威情報ルックアップサービスといったものが戦術レベルとしてある。さらにその下位となる実戦レベルの脅威データベース提供サービスやクラウドサンドボックス、マルウエア解析、インシデントレスポンスといったサービスを用意している。

ユーザー企業側が高度なセキュリティー製品を使えるようになった理由は。

宮橋氏 ユーザー企業側の学習が進んだということ。例えば、カスペルスキーのインテリジェンス製品は、2年前にメガバンクや大規模証券企業で導入の検討があった。当時は技術的に最も高い評価を受け、購入予算もついた。けれども、「いいのは分かったが投資してもうまく使えないと判断した」という理由で導入に至らなかった。

 この事例でも分かるように、技術的に高い評価を得る製品やサービスでも、それを使いこなせるスキルがユーザーにないと、採用してもらえない。ユーザーのスキルを育成しないと(高い技術を導入した製品やサービスも)宝の持ち腐れになる。

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