携帯電話各社は5Gの開設計画の申請に当たり、周波数の希望枠に順位を付けて総務省に提出した。蓋を開けてみれば3.7GHz帯/4.5GHz帯、28GHz帯とも同じ希望順は存在しなかった。各社は5G周波数の割り当て枠をどのように評価して希望順を決めたのだろうか。

皆が世界の動きを見た

 3.7GHz帯/4.5GHz帯は枠によって他用途の無線局から受ける影響が異なるため、①~④、⑤、⑥に分けて希望を受け付けた。第1希望が多かったのは、①3.6GHz~3.7GHz。NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー電話(以下、KDDI)、楽天モバイルが第1希望に挙げ、ソフトバンクは第2希望とした。次点は②3.7GHz~3.8GHzで、ソフトバンクが第1希望、他3社は第2希望だった。第3希望と第4希望は③④に集中した。

 総務省は①~④で1巡目の審査を実施し、評価点が高かった事業者から希望順の高い枠を割り当てた。①はNTTドコモ、②はKDDI、③は楽天モバイル、④はソフトバンクという結果だった。さらに2巡目の審査により、⑤はKDDI、⑥はNTTドコモとなった。

周波数割り当て枠に対する携帯電話各社の希望順(3.7GHz帯/4.5GHz帯)
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 ①②に人気が集まったのは、国際的に広く5Gで使われる周波数のためだ。「国際的にハーモナイズが取れている」などの表現をすることもある。①~⑥に他国で使われない枠はないが、肝心なのはどの国が使うかだ。総務省によると、①②は欧州、①は韓国でも使われるという。

 ハーモナイズが取れた周波数を利用するメリットを、NTTドコモ ネットワーク部技術企画部門の中南直樹担当部長は「例えば、端末を調達しやすくなる」と説明する。世界的によく使われている周波数なら、対応デバイスの数もそれだけ増える可能性が高いというわけだ。特定周波数にわざわざ対応させる必要がないため、機器調達のコストや期間の面でも有利になる可能性がある。

NTTドコモ ネットワーク部技術企画・技術推進担当の福田航氏(左)、ネットワーク部技術企画部門の中南直樹担当部長(中央)、経営企画部5G事業推進室の石丸浩企画担当部長(右)
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 ただし、3.7GHz帯/4.5GHz帯には周波数を共用する他の無線システムが存在し、この影響を受ける。①~④は衛星システム、⑤は衛星システムと電波高度計、⑥は電波高度計と公共業務用無線だ。最も人気が高かった①も例外ではなく「既存の衛星が無線局免許を受けているので、周波数調整が必要になる。衛星の地上局と物理的に離隔する必要がある」(NTTドコモの中南担当部長)。

 KDDIも、国際的にハーモナイズが取れているという観点で、①②の順に希望した。

 希望順が②①と唯一、逆だったのがソフトバンク。①は②よりも、NSA(Non-standalone)やCA(キャリアアグリゲーション)で割り当て済みの周波数と組み合わせて使うときに相互変調歪み(IMD)が発生し、無関係な周波数に搬送波が出る影響を考慮した結果だという。楽天モバイルは低い周波数のほうが電波が届きやすいと考え、周波数が低いほうから高い優先度にした。

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