「短時間でよいから、高スキルのエンジニアに手伝ってほしいという企業からの相談が増加している。単価は1時間当たり4000~4500円が最も多い。1万円を超えるケースもある」。ITエンジニア向けの副業マッチングサービスを手掛けるITプロパートナーズの冨士本康平執行役員事業統括責任者は打ち明ける。

 副業の目的は人それぞれ異なるが「収入アップ」は、やはり魅力だろう。今回は副業の収入事情について明らかにしていく。

副業に4割が関心も副業中は1割

 まず、副業を取り巻く状況を簡単におさらいしよう。働き方改革の一環で、政府が2017年に副業・兼業を解禁する方針を示した。これを踏まえ、2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公開した。

 副業を解禁する企業も増えつつある。情報通信企業ではディー・エヌ・エーやSCSK、TIS、サイボウズ、ソフトバンク、ヤフーなどが副業を許可している。他の業種でもカゴメ、コニカミノルタ、パルコ、ロート製薬といった大手企業が副業を解禁している。

 パーソル総合研究所が2019年2月に公表した「副業実態・意識調査結果【企業編】」によると、回答企業1641社のうち13.9%が副業を全面的に許可していた。業種別に見ると、情報通信業は“副業先進業種”だ。同社の調査では、全面的に許可する情報通信企業の割合は18.4%で、「上記以外の業種」を除くと最も高かった。

業種別に見た企業の副業許可状況
(出所:パーソル総合研究所「副業の実態・意識調査」)
[画像のクリックで拡大表示]

 副業を実施している個人はあまり多くない。パーソル総合研究所の「副業実態・意識調査結果【個人編】」によると、1万3958人の正社員を対象にアンケートを実施して「現在副業をしている」と回答したのは10.9%だった。ただ、副業への関心は高い。副業をしていない1万2437人の正社員のうち、41.0%は「副業意向あり」と回答した。

 ITエンジニアは副業への意向と実際の副業経験のギャップが特に大きい。IT系技術職で副業をしているのは8.9%と全体よりも2ポイント低い。一方で、副業意向ありは42.2%と全体よりも高い。多くのITエンジニアは「副業に関心はあるが、周囲に経験者が少なく、実態が分かりづらい」というイメージを持っているだろう。

稼げるのはITスキルを使った副業

 副業の収入は専門スキルの生かし方によって変わる。副業には、(1)ITスキルを生かした長期の仕事、(2)ITスキルを生かした短期の仕事、(3)本業とは無関係の仕事、(4)週末起業の4パターンがある。

 稼ぎやすいのは、ITスキルを生かした(1)と(2)のパターンだ。幸いなことに、ITスキルは社会からのニーズが高い。パーソル総合研究所が副業中の人を対象に実施した調査によると、「本業と関係がある内容」を副業としている人の割合は全体では24.2%であるのに対し、主にITエンジニアが分類される「IT技術・クリエイティブ職」では40.8%が本業と関係がある内容の副業をしていた。

 (1)ITスキルを生かした長期の仕事は、安定的に高収入を見込める。冒頭に挙げた「単価が1時間当たり4000~4500円の仕事」はこのパターンだ。知人からの紹介や副業マッチングサービスの利用で仕事を獲得する。ITスキルを生かした、アプリケーション開発、ITインフラ設計、新規事業立ち上げの支援といった仕事がある。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら