「陸屋根下地材の含水率を下げる」「通気経路の施工手間を減らす」。屋根断熱の結露トラブルを回避する秘策を、経験豊富な実務者と専門家に聞いた実践例から紹介する。

Q. 陸屋根下地材の含水率を下げるには?
A. 脱気口を設けて除湿する

 陸屋根は構造上、通気口の設置が難しく、内部の除湿が課題だ。野地板など木材の初期含水が高い場合は、腐朽を回避する対策が必要となる。

 足利大学工学部創生工学科建築・土木分野の齋藤宏昭教授は、脱気による除湿効果を実験で確かめた。陸屋根を模した実験棟に、野地板上側の空気層と外部をつなぐ脱気口を設置。除湿を試みたところ、一定の効果があると分かった〔写真1図1〕。

〔写真1、図1〕陸屋根の野地板含水を改善
足利大学の齋藤宏昭教授らのグループは、陸屋根の屋根換気に関する実験を行った。陸屋根を模した実験棟を設置して〔写真1図1-a〕、通気口の代わりに脱気口を設けた場合の除湿効果を確認した。〔図1-b〕は実験結果を示す。脱気口の有無や大小に応じて、水分の排出量に違いが見られたので、脱気口の設置が野地板の初期含水の排出に一定の効果があると分かった
〔写真1〕
(写真:足利大学)
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〔図1-a〕[実験棟屋根部の垂直断面図]
(資料:足利大学)
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〔図1-b〕[野地板からの1日当たりの放湿量]
(資料:足利大学)
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中小規模の陸屋根を想定

 田島ルーフィングは、陸屋根用の脱気システム「オリジナル脱気防水工法」を実用化している。

 CLTパネルなどの木造下地の上部に、排湿溝を刻んだ断熱材などを挟み込み、その溝から下地の残留水分を回収。圧力差で屋上に設けた脱気筒へ誘導して外部へ排出する〔写真2、図2〕。

〔写真2、図2〕圧力差で木造下地の残留水分を排出
木造住宅の陸屋根に、〔写真2〕のような脱気筒を設けて(赤丸で囲んだ箇所)木造下地の水分を逃がす。施工中などに木造下地(CLTパネル)に染み込んだ水分は、断熱材の下面に刻んだ溝〔図2-a〕を介して脱気筒につながる孔へと移動。圧力差で脱気筒から排出される〔図2-b〕。断熱材の継ぎ目などから上層の合板に染み込んだ水分も、その上層のアスファルトシートの下面に刻まれた溝〔図2-a〕から取り込まれ、脱気筒を介して外部に排出される
〔写真2〕
(写真:建築研究所、日本CLT協会)
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〔図2-a〕
(資料:田島ルーフィング)
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〔図2-b〕
(資料:田島ルーフィング)
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 「中小規模の木造住宅を意識した。施工時に資材が雨水や夜露にさらされ、そのまま防水処理されると木造下地は水分がパックされた状態になる。最悪の場合、腐朽につながるので、水分の排出を促す」。田島ルーフィング住建開発部の山根良和課長は、商品の狙いをこう説明する。

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