屋根断熱では断熱材の上方で通気を確保する必要がある。だが不適切な通気は、雨漏りトラブルやコスト増などの弊害を生む。経験豊富な実務者と専門家に聞いた具体的な対策や納め方をQ&A形式で紹介する。

Q. ルーフバルコニーの通気はどうする?
A. 雨が入りにくい通気口を壁に設ける

 ルーフバルコニーの下に断熱層があるのに、通気層を設けていない住宅は少なくない。施工が面倒で、雨仕舞が難しいからだ。3地域以南の長期優良住宅については、防湿シートを張れば通気層を省略できる規定がある。しかし、通気層を設けた方が結露リスクは軽減できる。

 家全体の通気にこだわる縁創建工房(大阪府寝屋川市)は、防水層の立ち上がり壁に通気層を設け、通気土台水切りを設置する。そして、その水切り部から出入りした空気が防水層の床下の通気層に流れるようにする〔図1〕。

〔図1〕防水層側に通気層を設ける
縁創建工房が考案したルーフバルコニーの納まり。防水層側に通気層を設ける。壁の通気をよくするため、通気土台水切りで通気層を区切らず、横胴縁にも開口を設ける。断熱材の防風層として張る透湿防水シートが2次防水として機能する(資料:縁創建工房の資料に加筆)
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 防水層の立ち上がり壁に通気層を設けると、通気層に雨水が入って居室で雨漏りに至る恐れがある。そのリスクを減らすには、水が浸入しにくい樹脂製の通気部材を使い、軒の出を長くすることが欠かせない〔写真1〕。居住者にも清掃時に通気部材に水を掛けないようにしてもらう。

通気層の出入り口となる通気土台水切り(写真:縁創建工房)
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床根太を切り欠いて、桁行き方向にも空気が移動できるようにしている様子(写真:縁創建工房)
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〔写真1〕通気土台水切りから給気

 同社がこの納まりを採用して8年以上が経過する。「その間、約60棟の住宅に採用してきたが、雨漏りしたのは2018年の西日本豪雨で1件だけだ」と縁創建工房の松藤慎二郎代表は話す。

 建築設計事務所が設計した住宅の施工を多く手掛ける堀井工務店(横浜市)は、ルーフバルコニーの外壁側に設けた通気層から空気を出入りさせる〔図2〕。外壁通気層の下地合板に雨水を入りにくくするスリット状の開口を設けて、床下の通気層につなぐのがポイントだ〔写真2〕。

〔図2〕外側の通気層から空気を入れる
堀井工務店が採用しているルーフバルコニーの納まり。外側の通気層の途中に、床下通気層に通気できる経路を設ける(資料:堀井工務店への取材を基に日経ホームビルダーが作成)
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防水ドブ下地材に壁と床の通気層をつなぐための開口を、455mmピッチで開けているところ(写真:堀井工務店)
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外壁の下地合板に日本住環境の通気スリッターを用いて開口を設けた状態(写真:堀井工務店)
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〔写真2〕開口を連続させる

 堀井工務店の中村哲也代表は「2方向の外壁に開口を設けて、一方を入り口、他方を出口にする」と話す。

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