今回は、部下がネガティブで困っているという田中課長(仮名)からの相談です。

 私の部下の野村君(仮名)は、何か意見を求めると「できません」「無理です」というネガティブな言葉をいつも返してきます。

私(田中課長):「今回発売する新商品は、他社とどのように差異化するかを研究しなければならない。君がリーダーになって、チームで勉強会をやってくれ」

野村君:「勉強は個人でやる方がいいです。全員でやる必要はありませんよ。以前、私が声を掛けた時、文句ばかりで誰も参加してくれませんでした。私にはとてもできません」

 野村君は、以前うまくいかなかったことに懲りてネガティブになっています。私は、そうした言動が周りにも悪い影響を及ぼしていると考えています。この状況をどうにか打開できないかと悩んでいます。

 仕事でつまずいたり、職場での人間関係がうまくいかなかったりするとき、精神的に落ち込むことがあります。最近、折れやすい心を持つ若手社員が増えており、部下の扱いに困っている上司がたくさんいます。若手社員に限りません。職場の管理者やリーダーも日々の仕事の中で、ストレスやプレッシャーに常にさらされています。

 こんなとき、失敗や困難を克服する力である「レジリエンス」が求められます。

レジリエンスとは

 レジリエンス(resilience)とは、「精神的回復力」や「再起力」を意味する言葉です。ストレスやプレッシャーなどの困難な状況に適応して、うまく回復できる力のことです。

 レジリエンスという概念が注目され始めたのは、1970年代、第2次世界大戦後の孤児についての研究がきっかけでした。辛く過酷な環境を生き抜いた戦争孤児の追跡調査の結果、過去のトラウマや不安によって生きる気力を持てない人がいる一方で、逆境に打ち勝って幸せになっている人がいました。同じような経験をしながら逆境を乗り越えた人たちには、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだせる、という共通の傾向があることが分かったのです。

レジリエンスの必要性

 仕事や人間関係のストレスを抱えて精神が疲労しているビジネスパーソンにとって、レジリエンスを身に付けることが必要な理由を3つ挙げます。

[1]ストレスへの耐性

 レジリエンスを身に付けることで、物事を前向きに捉え、ストレスを適度に受け流すことができれば、自分で改善の方法を見いだすことができるようになります。

 ストレスを感じたときには必要以上に悲観的にならず割り切って考えることができるので、自分にも周りにも優しくなれます。

[2]目標・課題の達成

 仕事の責任範囲が大きくなれば、より複雑な課題や高い目標にチャレンジすることが求められます。

 レジリエンスの高い人は、困難やリスクに遭遇してもそれを回避せず、壁を乗り越えて目標を達成します。何かに失敗したとき、「やっぱりダメだ」「もう諦めよう」と思うのではなく、「次はもう少しここを変えれば、うまくいくかもしれない」と何度でもチャレンジすることができます。悲観的に考えずに、「次はどうするか」を柔軟かつ冷静に考えることができるのです。

[3]変化への対応

 昨今グローバル化が加速することで、環境変化のスピードも増しています。組織改革や異動、転勤、出向など、さまざまな環境変化があります。

 レジリエンスの高い人は、そのような変化に抵抗するのではなく、柔軟に対応することができます。多面的な思考法が身に付いていれば、視野が狭くなって解決策を見落とすということはありません。どんな結果に対しても、ありのままの事実を受け入れ、次はどうするかをさまざまな面から冷静に考えることができるのです。

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レジリエンスを高める方法
(作成:日経 xTECH)

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