今回は、部下に話が伝わらないと悩む立花マネジャー(仮名)からの相談です。

立花マネジャー:「細かく指示しなくても、これくらい自分で判断できるだろう?」
松本君:「はい……」
立花マネジャー:「俺たちの若い頃はそうやって仕事を覚えたもんだ」
松本君:「はい……」

 部下の松本君(仮名)を叱った翌日、私(立花マネジャー)は廊下で松本君と他の部員との会話を偶然耳にしました。

松本君:「マネジャーは一体何を考えてるんだろう?」
メンバーA:「どんな判断で決めたり評価したりしているのかな」
メンバーB:「マネジャーが何を考えているのか全然分かんないよ」

 厳しいかもしれませんが、部下のためにしっかりと指導しているつもりでいた私は愕然(がくぜん)としました。どうすれば、部下に私の考えを理解してもらえるでしょうか。

 リーダーはチームの目標だけではなく、自分自身が達成すべき目標を設定する。そして、その目標に合わせて自らの仕事ぶりと成果を絶えず客観視し、修正していく必要があります。しかし、リーダーとしての経験が長くなると、チームのメンバーや周りの人たちが、リーダーの短所や修正すべき行動を直言することは少なくなっていきます。

 メンバーには根気よく何度も説明することが大切だとは分かっていても、実践はなかなか難しい。頭では理解しているはずなのに、ついカッとなって口調が荒くなってしまうということはあるものです。この習慣の壁を突き破るには、まず、自己管理を実施する必要があります。

 リーダー自身が、きちんと自己管理できるようになるには、自分自身の能力や長所はもちろん、短所から行動、習慣までも客観的に評価できるようにならなければなりません。リーダーがチームを率いていくに当たって、どれくらい自分のことをチームメンバーに開示して理解を得ているかを分析するツールに「ジョハリの窓」があります。

ジョハリの窓とは

 ジョハリの窓とは、1955年に、米国の心理学者であるジョセフ・ルフトとハリー・インガムが提唱した、自分に対する自他の認識の違いを知り、コミュニケーションを円滑にするフレームワークです。

 具体的には、自分自身の性質や能力を「4つの窓」として捉えます。自分自身で分かっている部分と分かっていない部分、他人が分かっている部分と分かっていない部分、の組み合わせにより、自己分析を行って人間関係を改善する指針にするのです。

ジョハリの窓
(作成:日経 xTECH)
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4つの窓とは

 私たちは皆、4つの窓を通して人と関わり、コミュニケーションをとっています。

[1]開放の窓

 自分が認識している自分の性質と、他人から見えている姿が一致している領域です。この窓の項目が多いと、自分の性質や能力が他人によく理解されているということ。少ない場合は、本来の自分が周りから十分に理解されていない状態にあります。

 この領域が大きいほど、良好なコミュニケーションが築けているといえます。

[2]盲点の窓

 自分が分かっていない自分の性質を、他人は知っていることを表す領域です。この窓の項目が多ければ、自分自身が自分の性質に気づいていないということであり、良好なコミュニケーションをとりづらくなります。

 自分が気づいていなかった自分の性質を受け入れることにより、この領域を小さくすることができます。

[3]秘密の窓

 自分は分かっているものの、他人は知らない自分の性質を表す領域です。この項目が多い場合は、他人に見せていない部分が多く、良好なコミュニケーションを築くことができない可能性があります。

 自分を意図的にオープンにすることで、この領域を小さくしていくことができます。

[4]未知の窓

 自分にも他人にも分かっていない自分の性質、あるいは未開発の潜在的な性質を表している領域です。

 新しい分野にチャレンジしていくことで、この領域を小さくしていくことができます。

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