今回は、部下に対するフィードバックの効果がないという上田課長(仮名)からの相談です。先日、部下の西村さん(仮名)と以下のようなやりとりがありました。

上田課長:「この資料は全体的に分かりにくいから、もう一度、見直して」

西村さん:「申し訳ありません。どの部分が分かりにくいのでしょうか」

上田課長:「最初の数ページで何を言いたいのかが、全く分からないな」

西村さん:「承知しました。直します(でも、具体的に言ってくれないと分からないよ。上田課長はいつもこうだから嫌になる)」

 上田課長は、部下の西村さんにフィードバックを行っているつもりです。ところが、現実は西村さんのモチベーションを下げ、信頼を損ねてしまっているようです。

フィードバックとは

 ビジネスシーンにおけるフィードバックとは、目標達成に向けた行動を評価した結果を、行動した人に伝え返すことです。例えば、上司が部下の行動を評価し、フィードバックを通して、部下に振り返りを促すことで、問題を解決するための行動につなげるようにします。

 フィードバックという言葉は、本来は電気工学の用語で、「電気回路において出力に応じて入力を変化させる」という意味があります。軍事用語では、「砲弾が目標地点からどれくらいずれて着弾したかを射手に伝える」ことを指します。客観的な事実を伝えるだけで、そこには主観的な判断が入りません。

フィードバックとアドバイスの違い

 フィードバックとアドバイスには、どのような違いがあるのでしょうか。

 例えば、砲弾の着弾地点が、「的から右に5m外れた」と伝えるのは、客観的事実に基づいたフィードバックです。これに対し、「もっと左を狙って撃たなければならない」というのは、主観的な判断の入ったアドバイスになります。

 相手の行動を修正するためには、アドバイスよりもフィードバックの方が効果的です。

 フィードバックは客観的事実を伝えるだけなので、それを聞いた相手は抵抗感を持たずに受け入れることができます。「目標地点からのずれ」を伝えるだけですから、どのように修正するかを考えるのは本人次第です。フィードバックには本人が自発的に行動を修正することを促す力があります。

 一方、アドバイスはアドバイスを受けた相手がどう受け取るかにより、効果が異なります。指示や命令と受け取られれば、相手が反発を覚えて、素直に受け入れてくれないこともあるかもしれません。

 アドバイスは「修正すべきポイント」を示すので、本人に考える余地を与えません。たとえアドバイスを受け入れて行動を修正したとしても、一時的な行動の変化にとどまる場合が多くなってしまいます。

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