今回は、マイナス思考の部下を持つ係長からの相談です。

 私(相談者;田中係長)は「今度はうまくいくからやってみろ」と、入社2年目の鈴木君(仮名)に声を掛けました。鈴木君は専門知識もあり、能力も持ち合わせているのですが、本人はそうは思っていないようです。鈴木君は物事を悲観的に考えてしまう傾向があり、

「本当に自分にできるでしょうか」

「また失敗するんじゃないかと思うのですが」

などと、弱気な発言をします。そうした思考や自信のなさが仕事に取り組む姿勢にも影響しているように見えます。

 こうしたマイナス思考の部下に戸惑っているのですが、私は彼をどのように指導すればよいでしょうか。

自己効力感とは

竹村孝宏
イントランスHRMソリューションズ 代表取締役
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 自己効力感とは、カナダの心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された、仕事や人間関係などさまざまな場面での行動に影響を及ぼす自己への認知のことです。もっと分かりやすく表現すると、人が課題に直面したとき、「こうすればうまくいくはずだ」という期待に対し、「自分にはそれができる」という確信や、自己に対する信頼感や有能感のことです。「自分はうまくできそうだ」というセルフイメージを持っている状態といえます。

 自己効力感は、人が行動を起こそうとするときに大きな影響を及ぼします。

 自己効力感が高ければ、「きっとできる!」「自分ならやれる!」と考えてポジティブな行動を起こすので、良い結果につながりやすくなります。成果が出れば、さらに自己効力感が高まってやる気が出ます。

 壁にぶつかっても、自分の能力を信じることができ、壁を乗り越えるために、新しいスキルを身に付けたり、周囲にサポートを求めたりするなど、目標を実現するために必要な行動を起こすことができるのです。

 自己効力感が低い人は、「自分はどうせできない…」「また失敗するんじゃないか…」などと考えてしまうので、なかなか一歩が踏み出せません。そんな気持ちで無理に行動しても、良い結果も生まれにくくなります。

 能力があっても、結果を出すことができずにうまくいかないと、さらに自己効力感が低くなってしまいます。

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