照明と椅子は調整機能が重要

 当初の仮説通りにいかず、路線変更をした要素もある。例えば、椅子と照明は「当初は集中力を高めるベストなものを探したが、試行錯誤の途中で個人差が大きいと分かった」(渡辺グループ長)。そこで、個人の好みに応じて調整できる機能の豊富さを重視する方針に切り替えた。

 椅子は米ハーマンミラー(Herman Miller)の「ミラ2チェア」を選択した。座面の高さだけでなく、リクライニングの範囲や硬さ、肘掛けの位置、座面の奥行きなど細かい調整ができる点を評価した。

米ハーマンミラーのミラ2チェア。体格に合わせた細かい調整が可能
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 照明については、好みに応じて机を囲う上部の板を取り外せるようにした。明るいほうが集中できるエンジニアは、板を外して仕事をしている。そのうえで、部屋の天井に付いている照明の位置をレールで調整できるようにした。これを使って、エンジニアが個々に没頭できる明るさ、照明の当たり方を調整する。

机上部の板は取り外せ、部屋の照明はレールで位置を調整できる
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 渡辺グループ長は「体格や視力は個人によって違うので、画一的にすると合わない人が出てくる。調整できるようにしたほうが、生産性が高まるという結果になった」と話す。ちなみに、机の上部の板は外さない派が7割、外す派が3割であるという。

音と香りはあまり効果がなかった

 集中力に寄与するという仮説を立てたものの、検証した結果、大きな影響が見当たらなかった要素もある。音と香りだ。

 音については、周囲の音をシャットアウトしたほうが集中力が高まると仮説を立て、ノイズキャンセリングヘッドホンを試した。ところが、投資対効果を見込めるほどの生産性の向上がなかったという。

 香りについては、入室時に気持ちをリフレッシュする香りを漂わせる装置を導入した。だが、匂いがすること自体を嫌がるエンジニアがいたため、現在は利用していない。