人口増加と経済成長が続き、巨大な市場として注目されるインド。現政権のリーダーシップにより、国外からのビジネス進出を阻む要因の解消が進んでいる。特に、デジタルインフラの整備が大きなカギを握っている。その魅力の理由を、10のキーワードで探ってみる。

1 最後の超大国

 国土の面積は約329万㎞2で日本の約9倍(係争地を含む)。総人口は、世界2位の13億900万人(2015年、国連データ)。現在1位の中国と2024年には順位が入れ替わると予測される。以後も2050年ごろまで総人口に占める生産年齢層(15~64歳)の割合が増え続け、経済成長を支える。実質GDP成長率は、この数年、7~8%前後で推移。経済規模も2050年までには米国を抜き、中国に次ぐ2位になると予測するリポートがある。

 元・駐インド大使の平林博氏は自著で、米国、ロシア、中国に伍(ご)する「最後の超大国」と表現する。また、「世界最大の民主主義国」といった呼び方もされている。その市場の成長性には各国が注目し、日本も例外ではない。

 JETRO(ジェトロ、日本貿易振興機構)によると、18年訪日時のナレンドラ・モディ同国首相は、「中間(所得)層の拡大に伴う巨大な市場」「低廉な投資コスト」「安価で優秀な労働力」「豊富なIT人材」などのメリットを、日本の中小企業にも享受してもらいたい、と強調している。

 日本企業の進出状況は2018年10月時点で自動車関連など製造企業を中心に1441社、5102拠点に上る。また、日本の国際協力銀行による製造企業に対する調査では、日本企業が考える長期的な有望事業展開先として、9年連続で1位となっている。

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英国領時代に都市建設が進んだニューデリーの中心部、コンノートプレイス。市街地には信号機のない横断歩道もあるため、自動車やオートリキシャ(自動三輪タクシー)の群れの間を縫って渡らないと街区間を移動できない(写真:日経アーキテクチュア)
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コンノートプレイス。中心部は、夜になってもにぎわいが絶えない(写真:日経アーキテクチュア)

2 多民族・多宗教・多言語

 自治・独立性の高い29の州と7つの連邦直轄領から成り、多民族、他宗教の国民が同居する。英語を準公用語とするほか、主体となるヒンディー語を含め、22の公用語が存在する。「1つの国ではないに近い」といわれる国情は、広域のビジネスを困難にする。広大な国土と膨大な数の国民、なおかつ多様な文化や習慣を認めながら一国を統治するには、デジタルインフラの構築がカギになる。

 例えば、かつては「州またぎ税」と呼ばれる州別の間接税の煩雑さが指摘されていた。そこで現政権は「一国一税」の方針を打ち出し、17年に新たに物品・サービス税「GST」を導入。課税の一本化とオンライン化で透明性を上げるなどの改善を進めてきた。

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シーク教の寺院としてはデリー最大とされるバングラサーヒブ寺院。コンノートプレイスの至近にある。国全体ではヒンズー教が80%弱、イスラム教が15%弱、キリスト教、シーク教、仏教など多様に存在ずる(写真:日経アーキテクチュア)
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デリー最古の寺院とされるジャイナ教のディガンバラ・ジャイン・ラール寺院(写真:日経アーキテクチュア)

2 世界遺産

 ユネスコによる世界遺産の保有数がアジア圏では最多で、2019年時点で37件に上る。よく知られるのはタージ・マハル寺院。また、2016年に登録された「ル・コルビュジエの建築作品─近代建築運動への顕著な貢献─」では、インド北部に位置する連邦直轄領チャンディガールの行政地区「キャピトル・コンプレックス」が構成要素になっている。

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チャンディガールの行政地区「キャピトル・コンプレックス」。正面は、ル・コルビュジエが設計に携わった立法議会棟(写真:日経アーキテクチュア)
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チャンディガールの商業地区「シティセンター」。出入りを厳しく管理されている行政地区よりも、市民生活と都市空間の関係が分かる(’写真:日経アーキテクチュア)

 世界遺産に限らず、ガンジス川中流域に紀元前には存在したと記録される世界最古の都市の1つ、ヴァラナシなど歴史を誇る都市資産に恵まれる。それらの管理のため、インドでは「デジタルヘリテッジ(遺産)」「スマートヘリテッジ」と呼ばれる領域に関心が高まっている。国内外から年間700万人が訪れる希代の観光都市として悩みが凝縮されるヴァラナシには、そのモデルづくりの期待もかかってくるはずだ。

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ヴァラナシ。ガンジス川に沿ってガート(沐浴場)が並ぶ(写真:日経アーキテクチュア)

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