中国初の本格的なTOD(Transit Oriented Development、公共交通指向型開発)である「凱達爾枢紐国際広場(Cadre International TOD Center、ITC)」の供用開始が間近だ。建物に取り込んだインターシティー(都市間鉄道)が2019年9月末に開通予定で、低層部の商業施設なども順次開業していく。ITCは2棟のツインタワーとその低層部がインターシティーをまたぎ、インターシティーの駅と地下鉄駅、商業施設、オフィス、ホテル、SOHOから成る複合施設だ。

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凱達爾枢紐国際広場(Cadre International TOD Center、ITC)の工事風景。「枢紐」は「ハブ」を意味する。駅施設などの工事の完了を先行し、高架を走るインターシティーが2019年9月末に開通予定だ。次いで、19年末に商業施設が開業する予定。それ以降にホテルやオフィスが順次開業する(写真:凱達爾集団)
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凱達爾枢紐国際広場(ITC)の断面イメージ。駅、商業施設、ホテル、オフィスの複合施設。2019年9月のインターシティー開通以降、各施設を段階的に開業していく予定だ(資料:日建設計)

日本の都市を参考に中国各地でTOD計画

 発展を続ける中国の公共交通網のそれぞれの結節点で、副都心開発が進んでいる。TODは、必ずと言ってよいほど重点テーマに掲げられている。TODは、公共交通機関を基盤とする自動車に依存しない社会を目指す都市開発の考え方だ。駅など公共交通拠点の周辺に都市機能を集積。鉄道の上や地下空間を高度利用する。

 日本では東京の渋谷や新宿、丸の内など、過密な都市部などで実施例が多い開発手法であり、国土交通省は、日本企業が強みとする「質の高いインフラ」整備手法だとしている。中国の政府関係者や鉄道関係者、デベロッパーなどの多くは、日本を訪れて、渋谷、新宿、丸の内、みなとみらい、柏の葉などを視察しているという。

 加速する副都心開発の中でも、ITCは、中国初の本格的なTODとして注目を集めている。設計者は日建設計と地元の広州市設計院。広東省広州市東部の増城区に建設中で、広東省、広州市、広州市増城区の3政府が、重点プロジェクトに指定している。

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鉄道や海上橋でつなぐ広東省の主要都市と香港、マカオ間のネットワーク。凱達爾枢紐国際広場(ITC)は、このネットワークの中で、重要な拠点と位置付けられている。主要な空港や広州中心部、東莞、深セン、香港へ1時間以内でアクセスできる(資料:凱達爾集団の資料を基に本誌が作成)

 日建設計は、日本国内で渋谷など、多くのTODに関わってきた。その知見を生かし、国際公開コンペで受注したオフィスビルの設計での地下鉄駅と直結する提案から始まり、19年4月時点で、中国国内のTODに関連するプロジェクト67件に関わっている。

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