顧客から信頼される、しっかりしたSEになる。マネジャーになったら部下を支え、育てる。その心得を示した書籍『SEを極める50の鉄則』(馬場史郎著)が19年ぶりに復刊した。この特集では、ベースとなった連載から愛読していたベテランに「SE道」を聞いた。

 「現場の事実をしっかりつかみ、大きな影響を与えるようなら、たとえ言いにくい相手であってもきちんと伝える。プロジェクトのマネジメントでも経営でも欠かせない基本です。当たり前に聞こえるでしょうがここが大事と思っています」

 システム開発会社、マネジメント・ジャパンの吉田昌弘社長は成功の鉄則をこう語る。中堅システム開発会社でSEやプロジェクトマネジャー(PM)を務めた後、2007年に独立、同社を設立した。起業前から吉田氏は通信業界などで「必ず成功させるPM」として知られており、起業後も請け負った開発案件で失敗は無いという。

 技術が分かり、設計と開発ができ、プロジェクトマネジメントもできる精鋭を30人そろえる。創業時に掲げた方針を吉田氏は堅持し、自分の眼鏡にかなうSEを雇い、自分のノウハウを伝え、PM集団を育ててきた。

 設立から12年がたち、社員数は50数人と当初目標を超え、通常の受託開発にとどまらず、プロジェクトの現状診断やプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)の設置支援も手掛けるようになった。

普通のことをやれば失敗しない

 「今も昔も、なぜ失敗しないのか、と聞かれます。そのつど、普通のことをやっているだけです、と答えています」

 淡々と吉田氏は話す。確かに説明をそのまま書くと、当たり前のことの列挙になってしまう。例えばプロジェクト現場の事実をつかむにはどうすればよいか、と問うと次の答えが返ってきた。

 「ひたすら歩くことです」

 自身がPMをしていた当時、吉田氏は開発現場に常に顔を出し、歩き回り、現場のSEから話を聞いた。協力会社から送り込まれているSEの場合、当初は本音を明かさないこともあったが、慣れてくると実態を教えてくれるようになる。吉田氏がPMを務めたある案件で、手洗いで並んで用を足していた協力会社のSEから重要な情報を聞かされたこともあった。

 規模が大きいプロジェクトの場合、定例会議における口頭の報告に加え、詳しい報告書が提出される。PMとしての現役時代も社長になった今も、吉田氏は報告を鵜呑(うの)みにしない。PMを務める部下から説明を受ける際、「レポートではこうなっています」という言い方を聞くと「現場に行ってもう一回聞け」と指示を出す。

プロジェクトの幹を押さえる

 集めた情報は整理する。ここで重要なのは「プロジェクトの幹を押さえること」(吉田氏)。プロジェクト全体を見渡し、何が何でも達成しなければいけない箇所とそこに関わる関係者を把握する。

 現場で得た情報の中で幹に悪影響を与えかねないものがあれば確認し、これからプロジェクトがどのように進むのか、どういう問題が出てきそうか、先を読み、シナリオを考える。

 「プロジェクトの全体像をつかんでから次に出てくる未来の問題を読み解き、対応シナリオを持って行動する。それがPMです」

 言い換えると、既に発生した見える問題のほうへ走っていき、解決に全力を挙げてしまう人はPMではない。「問題解決をする人は必要ですが、それはSEリーダーであってPMではない。PMを自称していながら動きがSEリーダーの人が多いのではないでしょうか」(吉田氏)。

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