同僚や仕事上つながりのある人が亡くなり、そのデジタル遺品が手元に残ったとき、どんな対応をすればいいだろうか。遺族とは別の立場から考えてみたい。

 モデルケースに沿ってシミュレーションしよう。

 IT企業の営業部で働くAさん(30代)は出張先で事故に遭った。同行していた上司のBさん(40代)はすぐに救急車を呼んだがAさんは亡くなってしまった。家族や会社、取引先に連絡して、警察の事情聴取を含めた一通りの手続きを終えた。

 手元にはAさんのかばん。中にはスマートフォンとノートパソコンが入っている。Bさんのチームと並行して進めてきた別のプロジェクトのリポートがどちらかに保存されていることは知っている。スマホにはBさんも知らない業務上のやり取りの履歴が残されているだろう。さて、それをチェックしていいものか……。

(撮影:古田 雄介)

所有権が完全に会社にあればシンプルに引き継げる

 判断する上で最も重要なのが機材の所有権だ。

 スマホとノートパソコンが会社支給ならば、所有権はAさんではなく会社にあるので、基本的にはBさんが同じ会社のメンバーとして中身を確認すればいい。端末のパスワードがその場で分からなくても、会社が適切な管理ツールを導入していれば問題ない。システム部や総務部などに問い合わせれば、管理者権限で解除できるはずだ。

 チームで使っている業務用ソフトやオンラインストレージへのアクセスについても同様だ。社用車に乗った社員が亡くなった後、別の社員がその社用車を運転しても何ら問題がないのと似ている。

 ただし、不要な詮索や削除などを好き放題にしていいわけではない。

 日本デジタル終活協会代表の伊勢田篤史弁護士は、パソコンやスマホなどが会社の所有物であっても、これらの作業は社会通念上相当な範囲内で行うよう配慮することが望ましいと説く。「会社の所有物であれば、会社の管理権が各デジタル機器にも及びます。一方で、社員の私的利用に関する情報については、社員のプライバシー権が問題となります」(伊勢田弁護士)。