恥ずかしいデジタル資産を墓場まで持っていくにはどうしたらいいのだろうか。前回の通り原則は「壁より先に道」だが、道を作った後は大いに壁を活用しよう。

(撮影:古田 雄介)
[画像のクリックで拡大表示]

iPhone 5cのロック解除にFBIも手をこまねいた

 最も身近で強力な「壁」はスマートフォンだ。ロックをかけた端末はパスワードや生体認証といった鍵が無いと開けられなくなる。メーカーやキャリアに相談しても受け付けてもらえないし、ドライブを物理的に取り出すことも難しい。

 たとえ取り出せても最近の端末はストレージ内のデータを暗号化しているので、解析は期待できない。データ復旧サービスでも、パソコンより格段に難易度が高いというのが常識になっている。

 象徴的なのが、2016年に米連邦捜査局(FBI)が米アップル(Apple)を相手に起こした裁判だ。自爆テロ事件の容疑者が所持していたiPhone 5cのロックが解除できず、アップルに協力を要請したところ拒否されて連邦裁判所で争った。当時は国境を越えて話題になった。

 エントリーモデルのiPhoneのロックを解除するのにFBIがここまでやるのか――他にも細かな背景はあったが、ニュースの関心はその疑問に集約されていたように思う。

 裁判⾃体は、民間のIT企業が解除⽅法の提供を申し出たことで取り下げとなって幕を閉じたと言われている。アップルでなくてもロック解除を実現する技術は民間に存在したわけだが、連邦裁判に至るまでにFBIがロックされたiPhoneに手を出せなかったのも確かだ。

 それから3年たった2019年現在、米国の企業が最新スマホのロックを解除する装置を同国の公的機関限定で提供している。日本国内でも、民間企業の技術提供により、刑事裁判においてiPhoneやGalaxyのロックを解除した例が報じられてもいる。

 国家や裁判の重大事案ではスマホのロックは解除されることが珍しくなくなったのは大きな進展だ。ただ、一般的な相続の局面においては、パスワードが分からないスマホというのは、やはり難攻不落な存在と言えるだろう。

WindowsやmacOSでも暗号化できる

 だから、隠したいデータの置き場所として新しめのスマホを選ぶのは効果的な手段と言えるだろう。メインとは別のサブ端末を用意して、墓場まで持っていきたいデータはそちらに集約しておく作戦だ。もちろん、家族が困るような契約は残してはいけない。