中身を見られない、アクセスできないといった、デジタル遺品にまつわるトラブルを避けるにはどうしたらいいのだろう?

 解決パターンは大まかに2つある。

 一つはデジタル資産の持ち主が生前からきちんと準備しておくパターン。もう一つは、遺族などが必要な情報を把握して、機器やサービスの提供元に適切な働きかけを行うパターンだ。

 機器やサービスを提供している業者側が率先して動いてくれるパターンは、これまで触れた通り期待できないと考えておくのが賢明だ。問題を解決するには、デジタル遺品(資産)の所有者である当事者たちが動くしかない。

持ち主による日ごろの備えが最も確実

 2パターンのうちどちらのコストが少ないかというと、圧倒的に前者だ。資産の所有者が健在なときから最低限の備えをしていれば、大抵の遺品問題は回避できる。これはデジタルに限ったことではないだろう。

 絶えず変化するデジタル資産に対して万が一に備えるには、こまめなメンテナンスが欠かせない。しかし、面倒な作業を習慣化するのは難しい。できる限り手間をかけず、それでいて何年、何十年とストレスなく実行できるような運用が重要だ。

 お薦めの方法は、必要最小限のデジタル資産情報のメモを紙に記して、預金通帳や実印などと一緒に保管しておくこと。そしてその紙を、大みそかや誕生日などの記念日に更新することだ。メモはいわばデジタル資産のスペアキーであり、それを作って毎年最新情報に更新しておくという感覚でいい。

必要最小限の情報を紙にして、重要書類入れにしまっておく。
(撮影:古田 雄介)
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 こうすることで、自分に万が一のことがあっても、残された家族は遺品整理により重要書類を探す過程で、重要なデジタル資産の情報にも気付ける。

 このスペアキー作りはできるだけ時間をかけないようにしたい。あまり気合を入れすぎると更新に負担を感じるためだ。健康保険証を新しいものに切り替えるとか、それくらいのささいな手間、せいぜい毎年10分くらいかける程度がいい。名刺大から、大きくてもA4用紙1枚に書ける程度の情報量が個人的に妥当だと思っている。