2007年ごろに、当時大学を卒業したばかりだった息子さんを亡くした関東在住の女性・Xさんは、彼の部屋を当時のままに保つようにしている。本棚の並びやクローゼットの中の洋服の配置もそのままだという。

 Xさんは息子さんが残したブログを継続管理していて、その話を伺うためにご自宅にお邪魔した。息子さんが愛用していたであろうノートパソコンも、恐らくは当時のままで部屋に置いてあるのが目に入った。

 2007年ということは、その残されたノートパソコンのOSはWindows XPかWindows Vistaだろう。どちらもサポート期限が切れている。メーカー保証もとうに終了していると思われる。

 取材中に遺品であるパソコンの扱いについて尋ねると、ブログはXさんのパソコンで更新しており、息子さんのパソコンは亡くなった直後に重要そうなデータをいくつか印刷して以来、ほとんど触っていないという。

 余計なお節介と承知しながら、そのままの状態を保っておきたいなら、できれば外付けHDDなどにデータをバックアップしておいたほうがいいと取材の折にお伝えした。

(撮影:古田 雄介)

 デジタルデータは0と1で表される記号の連なりだ。記号が正しく伝わりさえすれば、オリジナルのままで存在し続ける。そのため、デジタル遺品も半永久的に残るイメージがあるが、実際は正反対と言っていい。手をかけなかったら、紙などの物体で残るアナログな遺品よりもよほど早く消滅してしまう。

※紹介する事例はプライバシーを保護するために、本筋を損ねない範囲で脚色を加えています。

HDDは5年で壊れると考える

 データ自体は無劣化でも、それを保存している“器”はそういうわけにもいかない。器とはパソコンのHDDやSSD、スマートフォンのメモリー(フラッシュメモリー)などのことだ。そこに記録されているデジタルデータがいつまで残るかは、それらの耐久性にかかっている。