まずは必要な書類や費用を把握する

 こうした徒労を少しでも減らしたいなら、準備が必要だ。ショップへ行く前にキャリアのヘルプページで「契約者死亡」や「解約」などのキーワードで検索して、必要な書類などを不備なくそろえておく。何が必要かはキャリアごとに異なるが、大まかにいえば以下の3種類になる。

  • 契約対象そのもの……端末、SIMカード、契約書類など
  • 契約者の死亡が確認できる書類……戸籍謄本や会葬礼状など
  • 手続きする人の身分証明……運転免許証、続柄が証明できる書類、印鑑

 承継(契約内容を遺族が引き継ぐこと)に対応しているキャリアも多いので、解約以外にどんな選択肢があるのか確認することも重要だ。解約しか選べないキャリアでも、ナンバーポータビリティーを申請して電話番号を別の端末へ持ち出すことはできる。

 費用も確認しておく。死亡時には契約解除費用がかからないケースが多いが、端末料金の残金や契約解除時までの有料サービス使用料は必要になる。冒頭で紹介したAさんのように、故人の携帯電話の使用状況が分からない場合は、ある程度の金額を支払う用意をしたうえで手続きを進めたほうがよい。

 本特集の過去の回でも触れた通り、端末の中身に対してキャリアが実施できるのは初期化のみ。「パスワードが分からない」「写真を取り出したい」といった相談は受け付けてもらえないと考えておいたほうがよい。

故人のスマートフォンにおいてキャリアが対応してくれる要素。端末内にあるデータや利用の履歴は原則として初期化しか対応してくれない。
(筆者が作成)
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 以上のように準備してキャリアショップに行けば、1回で手続きを済ませることも可能だろう。

 葬儀の前後は、故人の携帯電話に関係者からのSMSメッセージや着信などが届くこともある。そうした受信が落ち着いたころに、しっかり準備したうえでショップへ足を運ぶのが一番スマートな方法といえそうだ。

古田 雄介(ふるた ゆうすけ)
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。「古田雄介のアキバPick UP!」(ITmedia PC USER)、「インターネット跡を濁さず」(d.365)、「ネットと人生」(インプレス シニアガイド)などを連載。著書に「ここが知りたい! デジタル遺品」(技術評論社)、「故人サイト」(社会評論社)、「死とインターネット」などがある。