今回も中部地方に暮らす女性(50代)から受けた相談だ。事故で亡くなった旦那さんのデジタル遺品を調べたいという内容だった。

 旦那さんはスマートフォンとパソコンをよく使っていて、スマホはロックを解除できなかったものの、パソコンは誰でもアクセスできる状態だった。

 家族写真やよくやり取りしている連絡先、使っているオンラインサービスなどはパソコンからある程度たどれたそうだが、どれだけ調べても心のモヤモヤが晴れない。旦那さんが生前にポロッと「FXやってみようかな」と口にしていたのが頭から離れないためだ。

 旦那さんは生前にFX(外国為替証拠金取引)に手を出していたのか、いなかったのか。FXに手を出していたとしたら、未決済のポジションを残していたりしないか。また、そのポジションが負債となって法定相続人である自らの身に降りかかってこないだろうか――。

(撮影:古田 雄介)

 故人のスマホやパソコンにロックがかかっておらず、そのまま触れられるようになっていることも多い。しかし、端末の中身を見られるからといってデジタル遺品の問題がきれいに解決するわけではない。そのことを上記の事例は端的に示している。

 何しろスマホやパソコンの中には、その持ち主だけの世界が広がっている。誰が見ても分かるようにルールを決めて整理している人もいれば、他人からはぐしゃぐしゃにしか見えない並べ方をしている人もいる。自分自身でもどこに何を置いたか分からなくなっている人もいる。他人が意図を汲んで全容を解明するのは相当難しい。

 その中で、手を出していたかどうかはっきりしないFX取引の有無を突き止めるのは難易度が高い。とにかく手探りで残っていそうな痕跡を調べていくしかない。

※紹介する事例はプライバシーを保護するために、本筋を損ねない範囲で脚色を加えています。

FXの「負の遺産化」は珍しいがゼロではない

 故人が持つFX口座で負債が生じて、それが遺族の負担になる可能性はある。ただし、非常に珍しいケースだ。