5回連続ミスで「○分後に再度試してください」と警告が出るようになり、設定によっては連続10回のミスで工場出荷時に戻ってしまうこともある。中身が初期化されてしまったら、データ復旧会社でも手に負えなくなる恐れがある。

 目安として、当てずっぽうでロック解除を試すのは3回までとして、パスワードに関する確度の高い情報が入ったらもう1回くらい試す。それでも開けなかったらそれ以上触らず、専門家に相談するのが最善だろう。これはiPhone(iOS)でもAndroidでも同じだ。

 ここでいう「専門家」は、デジタル遺品サポートを請け負うサービスを指す。スマホのキャリアは各社の規則に応じて通信契約の解除や承継を行ってくれるが、端末の中のデータはノータッチだ。スマホメーカーもロック解除については原則応じてくれないと考えたほうがいい。

 前述のデジタルデータソリューションはスマホのデジタル遺品に対応する数少ない企業だ。2017年9月にデジタル遺品調査サービス(https://digitaldata-forensics.com/ihin2/)をスタートしたところ、1年半の間に455件の相談が届いたという。

 そのうち正式な依頼につながったのは約27%の123件。初期診断料は無料で、作業に応じて費用がかかる。これまでの平均単価はおよそ22万7000円だという。

 123件のうちスマホに関する依頼は44件で、ノートパソコンの24件を大きく引き離している。トラブル内容別に見ても「パスワード解析」が79件で突出しており、故人のスマホが開けない事態がデジタル遺品の中でもいかに多いかがうかがえる。

 とはいえ、すべてのスマホのロックを確実に解除できるわけではない。同社取締役COOの上谷宗久氏は「iOSもAndroidも最新のハードやOSは解除できないことが多い。ロック解除の方法も日進月歩なので、将来は現在開けない端末も解除可能になっていくとは思うが、それがいつになるのかは分からない」という。

デジタルデータソリューションの上谷宗久取締役
(撮影:古田 雄介)
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 ノウハウの蓄積が多く、解決できる期待値が大きいパソコンとは明確に難易度が異なる。このためデジタル遺品サポートを掲げるサービスでも、スマホは除外しているというケースが珍しくない。

 スマホのロック解除は専門家でも難しいし、解除できたとしても相応の費用が発生する。だから最後の頼みの綱と考えたほうがいいだろう。ただ、自力で中身を探す手段もあるにはある。次の回で解説する。

古田 雄介(ふるた ゆうすけ)
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。「古田雄介のアキバPick UP!」(ITmedia PC USER)、「インターネット跡を濁さず」(d.365)、「ネットと人生」(インプレス シニアガイド)などを連載。著書に「ここが知りたい! デジタル遺品」(技術評論社)、「故人サイト」(社会評論社)、「死とインターネット」などがある。