スマートフォン(スマホ)をそのままにして急に死んだらどうなるだろう?

 大抵の場合、その死は病院や警察を通して社会的に認知される。そうして遺体と手元にある遺品は家族の元に返されることになる。状況によっては勤務先に行くかもしれない。家族や同僚は悲しみながらも、取り急ぎ訃報を知らせるべき相手を知ろうとするだろう。進行中の仕事があれば、差し迫って知るべき情報も収集したくなるだろう。そこにあるのがスマホだ。

(撮影:古田 雄介)
[画像のクリックで拡大表示]

 スマホにロックがかかっていなければ、まずは通話履歴やメール、LINE、SMSなどのやり取りをチェックすることが多い。銀行や金融機関のアプリなどがあれば資産のチェックも欠かせないし、ある程度スマホに詳しい人ならSNSアプリも気にするだろう。遺影写真などを探すために写真アプリに目を通すことも十分考えられる。

 もし自分が亡くなったら、そうしたデータを調べるために重要そうなアプリはすべて起動して最初の画面にはしっかり目を通されると思っておいたほうがいい。残されたデータをどこまで深掘りされるかは、家族や同僚のスキル、最期のシチュエーションによって異なるだろうけれど。

 ロックがかかっていて開けないとしても、スマホには直前までの情報伝達のやり取りが残っていることは確実。金融資産の重要な情報が記録されている可能性も高い。

 そのまま捨て置かれるケースもあるかもしれないが、何らかの方法でスマホの中身を知ろうとするのが人情だろう。デジタル機器に詳しい知人や専門家を頼って中身を探ろうとしても不思議ではない。

 パソコンを残して死んでしまった場合も、スマホと似たような状況になる。そのパソコンにまず触れるのは、自宅にあるなら家族、職場にあるなら上司や同僚になるだろう。いずれにしろ、自ら構築したデジタル環境に、他人に足を踏み入れられるのは避けられない。

 スマホやパソコンなどのデジタル機器は、遺品になると近しい人たちに中身を探られる可能性がとても高い道具と言える。にもかかわらず無防備に使っている人が多い。また、スマホやパソコンで使うオンラインサービスの提供元も、利用者の没後のことはあまり準備していないことが多いのが現状だ。

 これらの「デジタル遺品」を、何が起こるか分からないリスクある存在として怖がったり不安がる人はいる。確かに実態がつかみにくいところはあるが、本質的には普通の遺品と変わらない。本質と現状を踏まえて正しく取り扱えば、過度に恐れたり不安を感じたりすることは無くなるはずだ。

 筆者はそうしたデジタル遺品の問題を2010年ごろから調査しており、取材や寄稿、講演、不特定多数の人へのメール相談などを続けてきた。それらの活動を通じて得た知見や、関連業界で活動している団体に集まった事例などの最新情報を基に、デジタル遺品の対策方法や、手がかからず現実的な「デジタル終活」の進め方を紹介する。