楽天モバイルの新規参入で料金競争の激化が予想される携帯電話業界。だが、楽天モバイルは商用サービスの本格展開が遅れ、値下げ競争は当面、持ち越しとなった。この状況に最も安堵したのは、格安スマホに代表されるMVNO(仮想移動体通信事業者)だろう。

 楽天モバイルが安価な料金を打ち出し、仮にNTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの大手3社が追随する流れとなれば、安さを売りにしたMVNOの魅力は必然的に薄れる。多くのMVNOはいまだに黒字化もままならない状況にあり、さらなる値下げで対抗できるような余裕はない。このままではじり貧に陥るのが目に見えている。

 そこで期待されるのが、総務省によるMVNO支援の強化である。菅義偉官房長官が掲げる「携帯電話料金のいっそうの引き下げ」を目指すなら、楽天モバイルに頼るだけでなく、MVNOの活性化も同時に進めるべきだ。むしろ、携帯電話網の整備にしばらく時間がかかる楽天モバイルより、MVNO支援のほうが即効性が高い。

まだ踏み込む余地あり

 総務省はこれまで、多くのMVNO支援策を打ち出してきた。携帯大手がうんざりするほど細部まで徹底的にメスを入れたが、宿題がまだ残っている。

 代表例は、MVNOが音声通話サービスの提供に当たって携帯大手に支払っている通話料である。データ通信料は「原価+適正利潤」の規則に基づいて毎年下がっているが、通話料はこれが適用されず、高止まりしたまま。透明性や適正性の観点で問題があるとの指摘が出ている。

 しかも携帯大手がMVNO向けに用意する音声通話のメニューは従量制だけとされる。最近は独自の工夫で音声定額を実現するMVNOが増えてきたが、携帯大手には従量制だけでなく定額制のメニューも提供してほしいとの声は根強い。音声通話関連はさらに踏み込む余地がある。

 携帯大手がグループのMVNOにiPhoneを提供している点についても不満が多い。総務省の有識者会議が2018年4月にまとめた報告書では、これが直ちに「不当な競争を引き起こすことになるとは言えない」と結論づけたが、非グループのMVNOが要望した場合の協議状況の実態把握を進めるとした。

 もっとも、iPhoneについてはアップルがSIMフリー版を販売しており、ユーザーはこれを購入してMVNOのサービスと組み合わせて使えばよい。ただ、詳しい知識がないユーザーにとってはハードルが高いとしてiPhoneの取り扱いを熱望するMVNOは多く、これを後押しするような施策を打つことができれば活性化につながりそうだ。

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