2019年10月に携帯電話事業に新規参入する楽天モバイルを巡り、大きな問題が浮上している。携帯電話サービスの提供に必要な基地局の整備が大幅に遅れているのだ。監督官庁の総務省は8月26日、同社に基地局整備を急ぐよう行政指導した。総務省によると、同社への行政指導は3回目。3月と7月にも基地局整備の確実な実施を要請していたという。

 楽天は8月8日に開いた決算説明会で、当初はスモールローンチとする方針を表明済み。まずは限定的にサービスを始め、設備の安定性を確認してからオンラインやリアル店舗でのキャンペーンを大々的に展開していく構えだ。三木谷浩史会長兼社長は「ホップ・ステップ・ジャンプの3段ロケットでいきたい」とした。

 ネットワークの構築状況については「技術的な検証がすべて済んでおり、契約に関しても順調に進んでいる。(基地局とデータセンターをつなぐ光回線の部分で)多少の遅れはあったが、計画に対して着実に推移している」(三木谷会長)との回答だった。

 業界関係者の間では、楽天のこの姿勢が総務省を激怒させたと見る向きが多い。同社に反省の色が全く見られず、異例となる3回目の行政指導につながったというものだ。これまでは水面下でやりとりされていたが、楽天の決算説明会後から急に表面化した。

 もっとも、総務省が行政指導したところで状況がすぐに改善するとは思えない。筆者はスモールローンチですら危ういのではないかと危惧しており、楽天モバイルにはぜひとも慎重な展開をお願いしたい。見えや意地を張らず、総務省に頭を下げてでもサービス開始を後ろ倒しすべきだとまで考えている。

見切り発車は失望を招くだけ

 楽天モバイルの基地局整備に時間がかかるのはやむを得ない面がある。特にゼロからのスタートとなる同社は基地局の設置場所を確保するため、地権者との交渉から始めなければならない。同社は「基地局の電波が発射可能になるまで通常は1局当たり72時間かかるところを約8.5分で済ませられるようにした」と胸を張るが、それ以前の設置場所確保に膨大な時間がかかるのでどうしようもない。

 建設・工事会社は2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、繁忙状態が長らく続いている。基地局の設置工事については必ずしもこの限りではないが、既存大手3社が「5Gの基地局展開で工事会社を囲い込んでいる」(業界関係者)とされ、楽天モバイルは相当に苦労しているもようだ。

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