ソフトバンクグループ傘下で米携帯電話4位のスプリント(Sprint)と、同3位のTモバイルUS(T-Mobile US)の経営統合が大詰めを迎えている。

 合併に当たっては3つの規制当局、対米外国投資委員会(CFIUS)と米司法省(DOJ)、米連邦通信委員会(FCC)の審査をそれぞれクリアする必要があり、CFIUSは2018年12月に承認済み。DOJも2019年7月に条件付きで承認すると発表した。

 残るFCCも合併を支持する委員長らの声明を2019年5月に公表しており、近く承認される見通し。両社は7~9月期中にも規制当局による最終承認を済ませ、2019年後半の合併実現を目指している。

 経営統合を発表した2018年4月当時を振り返ると、両社の合併は難しいとする見立てのほうが多かった記憶がある。それを覆してしまうあたり、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は「やはり持っている」と感心してしまった。

 何を持っているかと言えば「強運」だ。孫会長は承認を得られる自信があったからこそ経営統合に至ったのだろうが、さすがに米衛星放送大手ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)が「第4の事業者」に躍り出て合併が認められるというシナリオまでは事前に想定していなかったはずである。それだけ意外だった。

4社体制でも競争維持にならない

 ディッシュ・ネットワークは、2013年のスプリント買収を巡ってソフトバンクが争った相手だ。衛星放送大手と言っても落ち目。最近ではネット映像配信サービスの普及に押されて契約者の減少が続き、業績は下降線をたどっていた。巻き返しに向けた策が、今回の携帯電話事業への参入というわけである。

 もっとも、同社は一風変わった会社として知られる。これまで何度も携帯電話の周波数オークションで落札を重ね、米国の報道によれば、保有する周波数は低域(ローバンド)と中域(ミドルバンド)で約100メガヘルツ幅。資産価値にして約300億ドル(約3兆1800億円)にも達するという。これだけの周波数を保有しているにもかかわらず、なぜか携帯電話サービスを展開していなかった。

 ディッシュ・ネットワークに携帯電話事業のスキルやノウハウがなかったと言えばそれまでだが、同社のチャールズ・アーゲン会長はかつてギャンブラーとして生計を立てていたとされ、計算高いことで有名。大量の周波数を保有する狙いは携帯電話事業者への参入ではなく、売却による利ざや稼ぎとの見方が多かった。

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