総務省は、格安スマホを展開するMVNO(仮想移動体通信事業者)の新たな支援策を導入する。MVNOが携帯電話大手から設備を借りる際に支払う「パケット接続料」の算定方法を見直し、2019年度の届け出から「将来原価方式」に切り替える方向で総務省の有識者会議の議論が大詰めを迎えている。

 パケット接続料は、MVNOにとって「回線の仕入れ値」に相当する。収入の多くが接続料の支払いで消えていくだけに料金水準や算定根拠への不満が根強くある。今回の見直しにより、MVNOは接続料の予見性が大幅に高まる。これまで以上に事業を運営しやすくなり、大きな追い風となりそうだ。

 かたや、NTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの大手3社は将来原価方式の導入に強く反対したが、総務省に押し通されて終わった。通信料金と端末代金の完全分離をはじめとした改正電気通信事業法への対応でただでさえ慌ただしい中、新たな宿題を課されることとなった。

MVNOの適切な原価管理に支障

 パケット接続料は設備にかかった費用をトラフィック(通信量)で割ることで算出している。それも2年前の実績に基づいて算出するため、分母に当たるトラフィックの拡大で低廉化が見込める状況においては「MVNOが過大な費用負担を強いられている側面がある」との指摘が出ている。

 精算方法もかなり複雑だ。前々年度実績に基づいて算出した接続料はあくまでも仮のものにすぎないため、最新の実績に合わせて当年度末に1次精算、翌年度末に2次精算を実施している。最終的な支払額は当年度末や翌年度末にならないと確定しないのでMVNOの適切な原価管理に支障が生じている。

接続料の複雑な仕組み。将来原価方式の導入により、MVNOの予見性を高める考え
(出所:総務省)
[画像のクリックで拡大表示]

 さらに大手3社が前々年度実績に基づいた接続料を公表するのは毎年度の3月末。接続料の低廉化を先取りした暫定値による支払いも可能なため、接続料の低減率がこの暫定値を下回ると追加の支払いが発生してMVNOの業績に打撃を及ぼすことがある。MVNO大手インターネットイニシアティブ(IIJ)の2019年3月期決算がまさにそうだった。「年度末のぎりぎりのタイミングで伝えられても策の打ちようがない」(あるMVNO)といった不満の声が相次いでいた。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら