格安スマホに代表されるMVNO(仮想移動体通信事業者)は、データ通信サービスの提供に当たって携帯電話大手にパケット接続料を支払っている。MVNOにとってパケット接続料は「回線の仕入れ値」に相当し、収入の多くがこの支払いで消える。経営を大きく左右する存在だけに、毎年3月末に公表される改定料金が大きな注目となる。

 携帯電話大手3社の2018年度のパケット接続料(レイヤー2接続)は、NTTドコモが前期比5%減、KDDI(au)が同20%減、ソフトバンクが同22%減だった。NTTドコモの下げ幅がここまで小さいとは思いもよらなかったが、ソフトバンクがKDDIを抜いて2番目の安さとなったことも想定外だった。

大手3社のパケット接続料(レイヤー2接続、10Mビット/秒当たりの月額)を比べると、ソフトバンクが2番目の安さとなった。2015年度適用分は2016年8月の改定後のもの。カッコ内は前期比増減率、▲はマイナス
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接続料格差は今後さらに縮小も

 今回のパケット接続料は、NTTドコモ回線を利用するMVNOには痛手となったものの、競争政策の観点では大手3社の接続料格差が縮小し良い兆候と言える。というのも、KDDIとソフトバンクのパケット接続料はNTTドコモに比べて「高止まり」の状況が続き、たびたび問題視されてきたからだ。

 2013年度のパケット接続料を例に挙げると、KDDIはNTTドコモの2.2倍、ソフトバンクは同2.8倍と大きな開きがあった。最近でこそKDDIやソフトバンクの回線を利用するMVNOが増えたが、一時はMVNO向けの回線提供でNTTドコモが「独り勝ち」のような状況だった。今回の改定により、接続料格差は1.2倍弱まで縮まった。

 2019年度はこの格差がさらに縮小することも考えられる。

 パケット接続料は設備費用をトラフィックで割ることで算出しており、今回の発表分は2017年度実績に基づいたものである。NTTドコモは低減率が落ち込んだ要因として、2016年度に減価償却方法を変更した点を挙げる。減価償却方法を定率法から定額法に変えた結果、2016年度は設備費用が大きく減ったが、2017年度はその反動が出た。

 NTTドコモによると、減価償却方法の変更で一時的に減った設備費用は「4年程度で元の水準に戻るとみている」という。2018年度も2017年度と同様にトラフィックが微増にとどまれば、2019年度の低減率も今回と同程度に終わる可能性が高い。

 片やKDDIとソフトバンクはどうか。2017年度はKDDIが「auフラットプラン」、ソフトバンクが「ウルトラギガモンスター」の大容量プランをそれぞれ投入し、トラフィックがこれまで以上に伸びる余地があった。

 大容量プランの拡販でARPU(契約当たり月間平均収入)の底上げを狙う両社は、大容量プランが順調に伸びているといい、2018年度はさらなるトラフィックの拡大を見込める。設備投資も横ばいまたは微減の傾向とみられ、今回と同程度あるいはそれ以上の低減率を期待できそうだ。

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