5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが2020年春に始まる。携帯大手3社が着々と準備を進める中、格安スマホに代表されるMVNO(仮想移動体通信事業者)は大幅な出遅れが濃厚な気配となっている。

 携帯大手3社は5Gの商用サービス開始と同時期に設備をMVNOに貸し出すと表明しているが、肝心の提供条件がまだ固まっていない。総務省は2019年12月18日、MVNOが5Gサービスの提供に当たって必要な情報を速やかに提供するよう携帯大手3社に要請したが、サービス開始には半年程度の準備期間が必要なことを踏まえると、もはや手遅れの印象だ。

トラフィックを識別できない

 5Gの商用化に先立ち、総務省の有識者会議で大きな議題となったのは、MVNOが5Gの設備を借りる際に携帯大手に支払う接続料。設備投資が先行する5Gだけを切り出して接続料を設定すれば、MVNOがとても借りられないような高い水準となってしまう恐れがある。5Gが不要なMVNOにとっては迷惑かもしれないが、有識者会議の結論通り、当面は4Gと5Gを一体化した接続料の設定が妥当と筆者も考えている。

 むしろ気になっているのは、議論の過程で携帯大手から出てきた「4Gと5Gのトラフィックを識別できない」という説明である。5Gは当初、現行4Gの中核設備「コア(EPC)」に4Gと5Gの両方の基地局がぶら下がる「NSA(Non-Standalone)」構成となり、「4Gユーザーの4Gトラフィック」「5Gユーザーの5Gトラフィック」「5G制御用の4Gトラフィック」に分けて接続料を算定するのが難しいというのだ。

 特定事業者の特定設備に限った話なのかもしれないが、仮に4Gと5Gのトラフィックが何の識別子もない「ごちゃ混ぜ」の状態でMVNO側のネットワークに届くことになれば、MVNOは5Gユーザーを識別して追加料金を徴収できない可能性がある。「SIMカードを分ければ識別できるようになるのかを含め、現状では具体的な提供条件が示されていないので全く分からない」(ある大手MVNO)という。携帯大手3社は技術仕様を早々に開示すべきである。

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